2ヵ月待っても孫から何もなく…息子に尋ねて分かったこと
夏になったころ、洋子さんは長男と電話で話していました。大学生活の話になり、何気なく聞きました。
「そういえば、あの100万円のこと、あの子は何か言ってた?」
長男は少し間を置いてから答えました。
「本人には言ってないよ」
洋子さんは聞き返しました。
「言ってないって、どういうこと?」
長男夫婦は、洋子さんから学費の援助を受けたことを孫には伝えていなかったのです。
100万円は確かに大学の学費に充てています。ただ、学費は親が負担するものとして孫には説明していました。
長男はこう話しました。
「お母さんには本当に感謝してる。でも、『おばあちゃんが100万円出してくれたから大学に行けた』みたいに思わせたくなかったんだよ。俺たちが親として払うつもりで準備していたお金でもあるから」
洋子さんは、少し複雑な気持ちになりました。
お礼を言わせたかったわけではない。それでも、自分は孫のために渡したのだから、本人も知っていると思っていたのです。
「だったら、最初にそう言ってほしかったな」
洋子さんがそう言うと、長男は「そこまで考えてなかった。ごめん」と謝りました。
一方で、話しているうちに洋子さんにも分かったことがありました。長男は100万円を軽く扱っていたわけではありません。
受け取るまで何度も断り、実際に学費へ充てています。ただ、「祖母が援助した100万円」として孫に伝えるかどうかについて、親子で考え方が違っていただけでした。
なお、祖父母から孫への金銭援助では、贈与税についても確認が必要です。2026年3月まで存在した「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」は延長されず、2026年4月以降、新たに同制度を利用することはできません。
また、一般的な贈与税の扱いは、誰が誰に、どのような目的・方法でお金を渡したのかなどによって異なります。まとまった援助を考える場合には、事前に税務署や税理士などへ確認しておくと安心です。
洋子さんはその後、長男に「本人には言わなくていい」と伝えました。
「私が勝手に、孫も知っていると思っていただけなんですよね。息子は息子で、親として考えたことがあったんでしょう」
ただ、今回の経験から一つ決めたことがあります。
今後まとまった援助をするときには、誰のためのお金なのか、本人に伝えるのか、どのように使うのかを渡す前に確認することです。
お金を渡す側と受け取る側では、その援助に込める意味が同じとは限りません。特に子や孫へのまとまった援助では、金額や使途だけでなく、「本人に知らせるのか」まで含めて認識を合わせておくことで、後から生じる行き違いを減らせるでしょう。
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