AIと半導体構想「パックスシリカ」との融合
そして、LECをAI時代の産業基盤へと格上げするのが「パックスシリカ(Pax Silica)」の存在です。フィリピンは2026年4月16日、米国主導で半導体とAIの安全なサプライチェーン構築を目指すパックスシリカに、13番目の署名国として加盟しました(※署名国:米国、オーストラリア、フィンランド、インド、イスラエル、日本、カタール、韓国、シンガポール、UAE、スウェーデン、英国、フィリピン)。
同時に、LEC内に1,618ヘクタールの工業団地を設け、フィリピン初の「AIネイティブ産業ハブ」とする計画も発表されました。米国務省もこれを「同盟国製造のための目的別プラットフォーム」と位置付けています。
舞台となるのはニュー・クラークシティーです。パックスシリカの「ゴールデン・ノード(要石)」と呼ばれるこのハブは、LECという物理的な回廊の上に、半導体、重要鉱物、AIインフラという戦略的レイヤーを重ねる役割を果たします。つまり、LECが道路や港湾、鉄道といったハードの接続性を提供し、パックスシリカがその上で流れる半導体やデータの信頼性を担保する二重構造の補完関係にあります。
EUとスペインの参画は、この構造に欧州の高度な技術と資金、ならびに環境・デジタル規制に関する知見を付加することを意味します。フィリピンが目指すのは、半導体の組み立て・検査・パッケージングの拠点から、設計・研究・国内加工へと脱皮することです。LECに欧州の造船や鉄道、米ハイパースケーラーのデータセンターが集積することで、ルソン島は単なる物流回廊を超え、インド太平洋における「経済安全保障回廊」へと進化を遂げようとしています。
