内外の逆風で「コロナ後最低」の減速へ
IMF(国際通貨基金)が10月13日に公表した最新の世界経済見通しは、フィリピンにとって厳しい内容となりました。2026年の実質GDP(国内総生産)成長率は3.4%と、2025年の4.4%から減速する見通しで、投資の低迷と高止まりする物価が重しとなっています。この数値は、政府がすでに下方修正していた目標レンジ(3.5〜4.5%)の下限をも下回り、コロナ禍以降で最も低い水準です。
成長減速の主因は、国内と海外の複合的な要因にあります。国内では、公共インフラ事業の審査厳格化に伴って公共工事が急減し、企業や家計の信頼感も低下しました。2026年4〜6月期の成長率は前年同期比2.3%にとどまり、相次いだ自然災害も下押し圧力となりました。一方、海外では中東情勢の緊迫化に伴って原油・天然ガス価格が高騰しました。エネルギー需要の多くを輸入に依存するフィリピンは、その打撃を直接受けています。
物価と雇用の悪化も深刻です。IMFは、インフレ率が2026年に平均5.6%、2027年に4.1%へ鈍化すると予測しています。しかし、依然として中央銀行の物価目標(3.0%)を大幅に上回る水準であり、家計の実質購買力を削ぎ続けています。
さらに雇用面の悪化も見逃せません。IMFは2026年の失業率が5.4%(2025年は4.2%)に上昇し、2027年も5.2%と高止まりすると見込んでいます。この5.4%という水準は、インドネシア(4.7%)やマレーシア(3.0%)を上回り、東南アジア主要国で最悪の水準です。経常赤字もGDP比4.8%に達する見通しで、通貨ペソ安に伴う輸入インフレへの警戒も欠かせません。成長の急減速が雇用を直撃し、物価高が暮らしを圧迫するという二重苦に直面しています。
もっとも、IMFの見通しは悲観論一色ではありません。2027年には外部ショックが和らぎ、投資が部分的に持ち直すことで、成長率は5.1%へ反発すると予測しています。IMFの担当者は、これを「フィリピンが持つ高い潜在成長力によるものだ」と説明します。ただし、5%前後の成長であっても本来の潜在力には届いていないと指摘されており、短期的な低迷を脱したとしても、持てる力を出し切れていない状況は続くとみられます。
