最も重要なのは契約書の作成、最低でもメール等で条件の確定を
上述の通り、契約の成立には契約書の作成が必須ではないといっても、企業が取引を行うにあたっては、やはり契約書を作成することが重要です。
本件についての詳細な事実関係は不明ですが、受託者が事前の合意内容を守らないと委託者が考えているとしても、契約書がなければ、そもそも当事者間で何を合意したのか、そしてその違反があったのかを確定することができません。また、本件では契約解除が主に問題となっているようですが、契約書がなければ、何に対して報酬を支払うのか、いつ報酬を支払うのかが明確にならないため、報酬の支払を巡ってトラブルになる可能性も十分考えられます。
そのため、同様のトラブルを未然に防ぐためには、契約書を作成することが最も重要です。もちろん、契約書を作成することが難しいご事情もあると思われますが、その場合でも、最低限、書面やメール等記録に残る形で、契約条件を確定することは必須です。これは、上述のフリーランス法3条の取引条件の明示の観点からも必須の対応です。
日々の記録が「いざというときの証拠」になる
契約書等を作成したとしても、受託者が契約書を守ってくれるとは限らず、無断欠勤や納期遅延等の問題が生じることを完全に防ぐことができるわけではありません。
このような場合、委託者として、契約を解除したり、場合によっては報酬の減額や損害賠償等の対応を取るためには、委託者の側で、受託者に帰責事由があったことを立証することが求められます。
そこで、受託者に無断欠勤等の問題が生じた際には、その都度、起きた事実とそれに対する対応の経過を、書面やメール等で本人に伝えることにより記録しておき、後々紛争に発展した場合の証拠として備えをしておくことが重要になります。
なお、上述のフリーランス法及び取適法においては、受託者に帰責事由がないのに報酬を減額することは禁止されています(フリーランス法5条1項2号・取適法5条1項3号)ので、仮に無断欠勤等の問題が発生した場合でもすぐに合意した報酬を減額するのではなく、まずは弁護士や公正取引委員会などに相談されることをお勧めします。
野田 俊之
弁護士
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