前回は、所有する不動産の価値を日頃から把握しておくべき理由を説明しました。今回は、所有不動産の「マイナス要因」の解消を図ることの重要性を見ていきます。

土壌汚染、地盤の弱さ…不動産のマイナス要因は多い

私が購入を持ちかけられる不動産は、以前からほかの第三者と売買に向けた交渉に入っていて、そこで足元を見られてしまっているものが少なくありません。不動産の抱える減価要因を指摘され、価格を抑えられてしまっているのです。逆にいえば、そうしたマイナス要素を抱えている不動産がそれだけ多いということです。

 

このマイナス要素とはどういうものなのか、改めて整理しておきましょう。

 

まず土地そのものに関して。土壌が汚染されていないか、地盤の強さに問題はないか、という問題ももちろんあります。ただ都市部の市街地内では、土地の価値はやはりその土地をどこまで有効利用できるかという視点で判断されるのが一般的です。つまり、そこにはどの程度の床面積を持つ建物を建てられるか、という視点です。

 

この床面積は、敷地の面積とそこに適用される容積率で決まります。測量が土地の面積を確定させるのに欠かせない作業であること、敷地に適用される容積率がその敷地の条件によってさまざまに変わり得ること、これらはこれまでも説明してきた通りです。

 

だからこそ、測量図がなかったり隣地境界が定まっていなかったりするということは土地の面積が確定できていないという点で、適用される容積率が建築規制上のルールによって抑えられるということは床面積を十分に確保できないという点で、それぞれマイナス要素として認識されてしまうわけです。

マイナス要因は、不動産売却のしづらさにもつながる

次に建物に関して。これはもう、法律に基づいて建設されているか否か、この点に尽きます。床面積を多く確保するのが収益性の観点からは重要とはいえ、建築規制上のルールに違反して床面積を稼いでいるような建物は価値を見込めません。建物完成時に受けるべき完了検査の検査済証の有無が問われるのも、同様の視点からです。

 

ただこの視点はどちらかというと、金融機関の視点です。つまり、その不動産の購入資金を融通できるか否かという見方です。

 

不動産を担保に資金を調達する必要がない買い手は一部に限られてしまいますから、少なくとも売却のしづらさにつながることは間違いありません。もちろん、具体的な不動産売買で買い手にその購入資金を融通するか否かは、金融機関によって判断が異なります。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『はじめてでも高く売れる 不動産売却40のキホン』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

はじめてでも高く売れる 不動産売却40のキホン

はじめてでも高く売れる 不動産売却40のキホン

宮﨑 泰彦

幻冬舎メディアコンサルティング

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