(※写真はイメージです/PIXTA)

長年仕事中心の生活を送ってきた夫婦にとって、退職は生活のリズムが大きく変わる節目です。それまで朝と夜しか顔を合わせなかった夫婦が、突然一日の大半を同じ家で過ごすようになることもあります。そうした生活の変化をきっかけに、それまで見えにくかった互いの生活習慣や考え方の違いが表面化することもあります。

「このまま20年暮らせるのか」35年目に出した夫の答え

退職から約2年後のことです。隆夫さんは友人から3泊の旅行に誘われました。久しぶりに気兼ねなく過ごせると楽しみにしていましたが、裕美さんに予定を伝えると、思いがけない言葉が返ってきました。

 

「旅行に行くのはいいけど、帰ってきたら少しこれからのことを話さない?」

 

「これからのことって?」

 

「このままずっと、2人でこうやって暮らしていくのかなって」

 

隆夫さんは、その言葉に戸惑いました。裕美さんは続けます。

 

「あなたが退職してから、私もずっと息苦しかった。毎日お昼をどうするのか気にしたり、出かけようとすると予定を聞かれたり。あなたは私の顔色を見ていたって思っているかもしれないけど、私も同じだったよ」

 

隆夫さんにとって、それは意外な言葉でした。自分ばかりが家で居場所を失っていると思っていたからです。

 

「だったら、別々に暮らしたほうがお互い楽なんじゃないか」

 

口にした瞬間、裕美さんは否定しませんでした。

 

「私も考えたことはある」

 

その夜、2人は結論を出しませんでした。しかしこの日を境に、隆夫さんにとって「離婚」が現実の選択肢になりました。

 

数日後、自宅や預貯金、退職金を含め、離婚した場合にどのような財産を整理する必要があるのかを調べ始めました。

 

そこで隆夫さんは、2,600万円の退職金も「自分が働いて受け取ったお金だから、すべて自分のもの」と単純に考えられるわけではないことを知ります。

 

財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して形成・維持した財産を離婚の際に分ける制度です。一方名義の預貯金や不動産であっても、夫婦の協力によって形成されたものであれば対象になり得ます。2026年4月施行の改正民法では、財産形成への寄与は、異なることが明らかでない限り夫婦で等しいものとされました。

 

そのため、退職金についても婚姻期間や勤務期間との関係などから財産分与の対象として問題になる場合があります。実際の対象額や分け方は個別の事情によって異なるため、単純に「半額」と決まるわけではありません。

 

さらに、離婚時には厚生年金の年金分割もあります。合意分割では、婚姻期間中の厚生年金記録について、当事者の合意または裁判手続によって按分割合を定めます。2026年4月1日以降に離婚した場合、年金分割の請求期限は原則として離婚後5年です。

 

調べていくうちに、離婚後の生活が思っていたほど単純ではないことも分かりました。

 

「家を売って財産を分ければ、それぞれ何とか暮らせるだろう、くらいに考えていました。でも実際に調べると、退職金も含めて整理しなければならない財産がいろいろある。離婚した後、自分にいくら残って、毎月いくらで暮らせるのかまで考える必要があるんだと気づきました」

次ページ夫婦が考える「これから」

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録