【2028年1月1日から?】日本の暗号資産投資家、税制改正で「現在最高税率55.945%から一律20.315%の申告分離課税」となるか…気になる出国税適用の可能性は?【国際弁護士が解説】

【2028年1月1日から?】日本の暗号資産投資家、税制改正で「現在最高税率55.945%から一律20.315%の申告分離課税」となるか…気になる出国税適用の可能性は?【国際弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年3月31日、暗号資産の分離課税導入を含む「所得税法等の一部を改正する法律」が成立しました。この法改正に伴って、暗号資産で得た所得にかかる税金が減税になるのか、現時点で公表されている資料に基づいて考察しました。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

出国税(国外転出時課税制度)は暗号資産に適用される?

暗号資産投資家の中には、海外移住して海外居住者となってから利益確定して、納税義務を免れている人も大勢います。こうした海外移住を考えている暗号資産投資家にとっては、暗号資産にも、出国税(国外転出時課税)(以下「出国税」)が適用されるか否かは、重大な関心事でしょう。

 

まず、出国税について説明しましょう。

 

日本では株式の売却益に対する課税(キャピタルゲイン課税)があるため、利益確定をすると課税されます。ところが、キャピタルゲイン課税されない国に移住してから株式を売却して、課税を免れる人がいました。

 

こうした課税逃れを防ぐべく、2015年に導入された制度が「出国税」です。

 

この出国税の対象は、「有価証券等」「未決済デリバティブ取引」「未決済信用取引等」に限定されており、暗号資産はこれに該当しません(所得税法60条の2、60条の3)。

 

ですから、現行法の下では、暗号資産を持ったまま海外移住して、移住後に利益確定し、日本の税を免れることが可能となっています。

 

では、今回、暗号資産に対する税制が改正されたことで、暗号資産にも出国税が適用されるのでしょうか?

 

出国税の対象は、「有価証券等」「未決済デリバティブ取引」「未決済信用取引等」であり、これは改正されていません。そして、「暗号資産」は、改正後の金融商品取引法でも「有価証券等」とは別個に位置づけられています。したがって、今回の改正を踏まえても、出国税の対象には該当しません。

 

しかし、将来的には、暗号資産も出国税の対象になる可能性はあると思っています。

 

実際、国税庁の研修機関である税務大学校の論文集「税務大学校論叢」第101号(2020年6月)に掲載されている錦織俊介氏の「国外転出時課税(出国税)制度の意義-あるべき対象資産の範囲-」では、法解釈や外国の事例などを挙げつつ、暗号資産にも出国税を適用すべきであると論じています※2

 

※2 錦織俊介「国外転出時課税(出国税)制度の意義-あるべき対象資産の範囲-」税務大学校論叢(https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/101/03/index.htm

 

ただし、同論文は、現行法上、暗号資産は明示的に対象外であるため、暗号資産にも出国税が適用されるよう、改正が必要と主張しています。

 

同論文は、「執筆者の個人的見解」と断ってはいますが、国税庁の内部には、こうした考えの方は少なくなく、この方向での改正の可能性は十分あるでしょう。

 

具体的には、出国税の対象を直接定める所得税法の改正によって、あるいは、所得税法が参照している金融商品取引法上の「有価証券」の定義の改正を通じて、暗号資産にも出国税が適用される可能性があると考えています。

 

出国税が制定されたときは、2015年3月31日に法律が成立し、同年7月1日から施行されました。つまり、法律ができてから移住準備をしようとしても、3ヵ月しか準備期間はありませんでした。

 

キャピタルゲインに課税されることなく利益確定したい暗号資産投資家の方は、暗号資産にも出国税が適用される改正がなされる前に、海外移住の準備を進めておく必要が高そうです。

 

 

小峰 孝史
OWL Investments
マネージング・ディレクター・弁護士

 

 

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