(※写真はイメージです/PIXTA)

東京都23区の中古マンション市場で流動性の低下が鮮明になっています。価格高騰と金利上昇により、購入者が実際に支払える価格の上限が明確になりつつあるからです。今回、マンションリサーチ株式会社が実施した2024年1月から2026年8月までの取引事例調査を基に、都心5区とその他18区で起きている対照的な変化をみていきます。

金利1%上昇で返済額はどう変わるか

なぜ「8,000万円」が限界なのか。住宅金融支援機構『2023年度フラット35利用者調査』によると、首都圏における中古マンション購入者の平均世帯年収は691万円。年収倍率は平均6.0倍です。

 

多くの実需世帯が年収の6倍から7倍程度の資金調達を行っている実態が分かります。世帯年収1,000万円のパワーカップルであっても、借入上限は8,000万円前後が現実的なラインです。

 

ここに金利上昇が追い打ちをかけます。たとえば8,000万円を35年返済、元利均等で借り入れるとします。変動金利が0.5%から1.5%へと1%上昇した場合、毎月の返済額は約20.7万円から24.5万円へと、月々4万円近く増加します。

 

それ以上に深刻なのが、金融機関の審査金利の上昇。これにより、同じ年収であっても借入可能額そのものが1割近く減る可能性があります。借入可能額が8,000万円から7,200万円へと減少する影響は甚大です。

 

これまでの市場は「いくらで売れるか」という売り手主導で価格が上がってきました。しかし現在は「購入者がいくらなら買えるか」という視点へ移行しています。

 

都心5区では富裕層による買い支えで価格が維持される一方、一般の購入者との乖離が拡大。都心5区以外では、すでに価格を下げて予算に合わせる動きが強まっています。

 

今後のマンション市場を見るうえでは、平均価格だけでなく、値下げ率や販売日数、購入者が集中する価格帯を見極めることが重要です。

 

金利と所得のバランスが崩れた今、市場は緩やかな調整期に入りました。「買える価格」へのシフトを捉えることが、これからの物件選びで欠かせない視点となります。

 

[参考資料]

マンションリサーチ株式会社『東京都23区の中古マンション、流動性低下が鮮明に 価格高騰と金利上昇で「買える価格」に変化』

 

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