「消費税課税事業者」にならないための裏技!?
法人でも個人事業主でも住宅の家賃は消費税課税売上にならず、家賃を除く売上(自販機、駐車場代、売電、プロパンガス手数料、法人と個人の副業の事業売上など)は消費税課税売上となり、その総合計が1000万円を超えると消費税課税事業者になり消費税を翌年に納めることになります。
例えば、クルマを500万で仕入れて700万で売ると、売った額の700万円が課税売上になってしまうので、資産管理会社では残りの300万円に対して合計1000万円未満になるようにしなければなりません。
最も困るのは、事業用不動産を売却した場合の建物価格が1000万円を超えて消費税課税事業者になってしまうことであり、次に不動産を売却すると消費税が大きな出費となります。
これにはただ1つ逃げ道があります。不動産取引は相対取引なので売主と買主の合意で建物価格が決まるため、売買契約書の売買価格欄にある建物価格を、例えば300万円として記入すればよいのです。
建物価格は買う時は高く、売る時は1000万円未満として売買契約書の代金欄を以下のように記載することが望まれます(マンションはこの記載はできません)。
◆購入時 建物価格を高く
売買代金
土地価格 20,000,000円
建物価格 10,000,000円
↓
◆売却時 建物価格を安く
売買代金
土地価格 30,000,000円
土地価格 3,000,000円
法人の場合、必ずしも節税になるとはいえない
減価償却ができるから節税になるという意味を正確にいうと、不動産の売却(EXIT)を想定した時、個人は節税になりますが、法人ではいつ税金を支払うかで、必ずしも節税になるとはいえません。
個人の場合、確定申告時の税率と売却時5年以上長期保有時20%の差分が節税になります。
しかし法人の場合では、決算申告時の実効税率と売却時の税率は同じであるため償却した分の差益に課税されます。
例) 利回り12%築23年(償却期間4年)の中古アパート購入については個人の方が500万円近く節税になります。
購入価格が建物2000万円、土地1000万円のものを6年目に3500万円利回り10%で売却できた場合の不動産の譲渡課税は次のようになります。
[個人の場合]
年収の多い人ほど税率が高いので中古アパートの購入は、売却時の税率も安く済むため大幅な節税になる。
年収700万円の個人:年間節税額=(700万+360万)×税率24%−(700万+360万− 2000÷ 4)× 18%= 153.6万円。
4年で614万円節税。
4年目から6年目の2年間の税額は、(700万+360万)×税率24%×2= 509万円。
売却時の課税額(3500万− 3000万+500万)× 20%= 200万円。
EXITまでの通算税額 509+200− 614= 95万円。
[法人の場合]
減価償却しても売却時に同じ税額を支払うので先に払うか、あとでまとめて払うかの違いなので、売却益が多いほど個人の方がよくなります。
最初の4年間は、アパートの年商360万円−減価償却2000÷ 4=− 140万なので課税は0円。
次の2年間、この法人の利益は総合800万円超えなら34.2%なので、360万円× 34.2%×2年= 246万円の課税。
売却時の課税額(3500万− 3000万+500万)× 34.2%= 342万円。
EXITまでの通算税額 0+246+342= 588万円。
結論は、個人には短期譲渡課税があるので5年未満または10年以上長期的観点で利益を分散する、または「相続や移転目的」で保有し続けるならば法人が有利ですが、上記の数字通り5年~10年以内に売却しキャッシュを残す目的なら断然個人保有が有利です。
さらに火災保険の保険金についても、保険金−修繕金について法人は利益算入しなければなりませんが、個人では非課税なので保険金は100%手残りします。