「待っているだけじゃ…」日曜日に入れた一つの予定
そんな生活が変わるきっかけになったのは、ラウンジで顔を合わせる同年代の女性との会話でした。
金曜日の午後、「週末は何をするんですか」と聞かれ、美智子さんは「何もないの。日曜日が一番長いのよ」と答えました。
すると相手から、「私、日曜はよく駅前まで歩いてるの。今度一緒に行く?」と誘われました。
翌週の日曜日、美智子さんはその女性と駅前の喫茶店へ行きました。2時間ほど話して帰宅すると、午後3時を過ぎていました。
「いつもなら、まだこんな時間かと思っていたのに、その日はもう夕方だなって思ったんです」
それから毎週会うようになったわけではありません。ただ、マンション内で顔を合わせれば少し長く話すようになり、月に1、2回は一緒に買い物や昼食へ出かけるようになりました。
美智子さん自身も、以前の友人に「来月、お昼でもどう?」と連絡するようになりました。
内閣府の同調査では、65歳以上で「ほとんど毎日」外出する人は55.4%、「2~3日に1回」は25.4%でした。一方、「週に1回」は6.5%、「月に1~2回」は2.6%、「ほとんど外出しない」は3.4%となっています。
美智子さんは、シニアマンションに入れば、同年代の住人と自然に親しくなり、休日にも誰かと過ごす機会が増えると思っていたといいます。しかし、同じ建物に住んでいるだけでは、それぞれの生活に踏み込むことはありません。
「考えてみれば、私も誰かのインターホンを鳴らしたことなんてなかったんですよね。自分のところには誰も来ないって寂しがっていたのに」
最近の日曜日は、朝に散歩へ出て、そのまま喫茶店でコーヒーを飲むこともあります。娘や息子が来る日はもちろんうれしいものの、週末を空けて連絡を待つことはなくなりました。
ある土曜日、娘から「明日、みんなで行ってもいい?」と電話がありました。
その日は友人との昼食の予定が入っていたため、美智子さんは「明日は出かけるから、来週ならいるよ」と答えました。以前なら、予定を変えてでも家族を迎えていたかもしれません。
インターホンが鳴らない休日は、今もあります。ただ、その静けさを以前ほど気にすることはなくなりました。
誰かが訪ねてくるのを待つだけではなく、自分から予定を入れて外へ出る。美智子さんにとってシニアマンションでの暮らしが変わり始めたのは、住む場所を変えたときではなく、休日の過ごし方を自分で決めるようになってからでした。
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