4LDKから2DKへ…「広い家が必要だと思い込んでいました」
自宅は1,900万円で売却できました。
荷物を整理し、いったん近隣の民間賃貸へ転居。売却後、条件を確認したうえで都営住宅に応募しました。
都営住宅は誰でも入れる低家賃住宅ではありません。東京都では所得基準が設けられており、募集区分によって資格も異なります。60歳以上の世帯には所得基準の緩和措置があり、年金についても給与収入とは異なる方法で所得額が計算されます。
2人は一度目の応募では入居できませんでした。
「家を売ればすぐ団地に入れると思っていたわけじゃないです。しばらく賃貸で暮らすつもりではいました」
その後、再び募集を確認して応募し、最終的に2DKの都営住宅へ入居することになりました。以前の家と比べれば、部屋数は半分です。
引っ越した当初、康夫さんは「さすがに狭かったかな」と感じたそうです。ところが、暮らし始めてみると、その感覚は少しずつ変わりました。
寝室と居間があれば日常生活には困りません。子どもたちはそれぞれ自宅を持っており、泊まりに来ることもほとんどありませんでした。
掃除にかかる時間は短くなり、庭の草取りもありません。
和子さんは、「前の家では、使っていない部屋まで掃除していたんですよね。今思うと、どうしてあんなに広さを残しておかなきゃと思っていたのか」と笑います。
自宅の売却代金は、そのまま老後資金の一部として残しました。
もちろん、長年暮らした家を手放した寂しさがなくなったわけではありません。子どもたちの身長を書き込んだ柱も、毎年花を植えていた庭も、もう自分たちのものではありません。
それでも康夫さんは、「家を残すことより、これからの生活を無理なく続けるほうを選んだ」と話します。
現在は、徒歩圏内のスーパーへ2人で買い物に行き、必要なものだけを買って帰る生活です。
「戸建てを手放す日が来るなんて、本当に思っていませんでした。でも、持ち家を持ち続けることだけが安心じゃなかったんですね」
広い一戸建てから2DKの団地へ。住まいは小さくなりましたが、家の修繕時期や庭の手入れを気にすることはなくなりました。
康夫さん夫婦にとって今回の住み替えは、単に住居費を減らすためだけのものではありませんでした。これから先、家を維持するために時間やお金を使い続けるのか。それとも、夫婦2人に必要な広さに暮らしを合わせるのか。68歳で選んだのは、後者だったのです。
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