「遠くの身内より近くの他人」にならないために
高齢の親が一人暮らしをしていて、子どもが知らないところで、身近な人との関係が深まっている――。疎遠な家族であれば起こり得ることです。
内閣府の「高齢社会白書」によると、65歳以上の一人暮らしは増加傾向にあります。2020年時点で、65歳以上の女性の22.1%が一人暮らしで、2050年には29.3%に達すると見込まれています。
一人暮らしの高齢者にとって、買い物や通院を手伝ってくれる人、何かあったときに頼れる人は心強い存在です。子どもが遠方に住んでいれば、なおさらでしょう。
親が亡くなったあとになって、そうした「身近な他人」と金銭のやり取りがあったと知れば、子どもが不安になるのも無理はありません。ただし、親が亡くなったあとに、そのお金がどのような経緯でいくら渡ったのかを確認するのは、そう簡単ではありません。
だからこそ、親が元気なうちから、「何か困っていることはない?」「変わったことは?」と、日々の生活について気軽に話せる関係性を持っておく必要があります。たとえ実の子どもであっても、あまりに心の距離が離れてしまえば、年老いた親が「遠くの身内より近くの他人」を頼ってしまっても不思議ではありません。
孝介さんが悔やんだのは、800万円の預金減少が不明瞭なことだけなく、母が誰を頼りにしていたのかすら知らなかったことです。親の財産だけでなく、親の暮らしにも関心を持つことが、「聞いていない」という相続後のトラブルを防ぐ一歩になるのかもしれません。
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