給与所得と赤字事業所得の合算
副業売上100万円モデルの間は、確実に事業収支は赤字になります。この赤字分は、もしあなたがサラリーマンをしていて、給与所得者であれば、納めた源泉所得税を確定申告によって返還してもらうことができます。
また、業務委託や派遣社員の方でも法人から源泉税が抜かれている場合は、双方で納めた税金の還付が可能です。
例1)Aさん:メーカー会社員
年収700万円/ゴルフトレーナーを副業で開始。
ゴルフトレーナーは個人事業所得として、自分の決めた屋号「ゴルフセブン」という口座に振込んでもらい、年間50万円の事業所得があったとします。
この経費ですが、自宅はゴルフセブンの事務所で、週の半分を自宅で講習会を開催していたとします。
そうすると、自宅の賃料16万円の半分8万円×12カ月=96万円を事務所家賃の経費として、計上することができます。この他に、通信光熱費や交通費や、設備費、ボールなどの備品・消耗品、コース料など270万円が経費だったとすると、事業所得50万円−経費270万円=−220万円の赤字になります。実際には所得控除などを考慮しないといけませんが、Aさんの年収は700万円から220万円を引いた480万円になります。
Aさんの会社の経理では、源泉徴収を済ませて、700万円分の税金を申告していますので、確定申告すると、220万円の差額に対する税金は概算ですが、速算表と住民税率を加味して(7,000,000−税額控除636,000)×税率0.232−(4,800,000−税額控除427,500)×税率0.189=約65万円前後が5月に還付されるようになります。
決算書には、貸借対照表と損益計算書を書く欄がありますが、難しければ確定申告する時に税務署の相談窓口で教えてもらいながら簡単に書くことができます。
【図表1】給与所得と赤字事業所得の合算で税金が返還される
減価償却費を経費で落とせば税金が0円になるケースも
副業を本業にする者にとっては、事業の毎月の損益を記帳するわけですから、願ったり叶ったりの事務作業ですが、弥生会計(個人事業青色申告)などの会計ソフトを使うと効率もいいでしょう。
初年度は、領収書、カード明細、通帳のコピーなどに経費がわかるように帳面(現金出納帳といいます)をつけておくといいでしょう。
個人事業の売上額の制限はありませんが、できるだけ毎月いくらか持続可能な収入が発生していることが税務上重要です。
売上金額は年間30万円以上を目安にし、毎月売上が立っている領収書の控えなどの記録が必要です。
こうすることで、税務署から見てAさんは、ゴルフトレーナーで定期的な収入があることで、本業とみなされ、サラリーマンは副業という形になるため、ゴルフトレーナーでは食えないので仕方なくサラリーマンの副業をしているという見方になります。
もちろん、収入はずっと年間30万円ではなくできるだけ増やしていき、いつかは税金を納めるくらいになるのが望ましいです。しかし、その時期はいつになっても構わないのです。
やりたい副業を行い、できればそれが天職の仕事で、人生を通してあなたがサラリーマンで得る収入も双方分配されるようになるわけです。もしあなたがサラリーマンをせず、本業のゴルフトレーナーだけにするなら収入は少ないため税金は0円の人になります。
例2)Bさん:ピアノの先生
Bさんは、経費の年間200万~300万円はAさんと同じで、グランドピアノや応接家具などの減価償却費用を経費で落とせば、やはり、税金0円の人になり続けられます。
もしこのBさんが楽器メーカーに勤務するサラリーマンで、帰宅後に副業でピアノを教えていたとして、700万円程度の年収をもらっていたとすれば、結果はAさんと同様にグランドピアノや応接設備の償却分を確定申告をすれば、概算ですが65万円を超える金額が還付されることになります。
例3)T君:本職は俳優
普段は副業として居酒屋で働いています。彼の居酒屋の年収は500万円ほどで、本業の芸能活動は年間100万円にもならずT君の個人芸能事務所は300万円の赤字なので、居酒屋の方で収めた年間300万円の課税所得額の一部約30万円ほどを還付請求することができます。
このように2つ以上の収入は損益通算できるので、多く納めた税金を還付請求できるのです。