建築士「残念ながら建て替えできません」…自宅をバリアフリーにしたい60代男性を襲った“道路幅わずか1cm不足”の非情【土地家屋調査士が解説】

建築士「残念ながら建て替えできません」…自宅をバリアフリーにしたい60代男性を襲った“道路幅わずか1cm不足”の非情【土地家屋調査士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

マイホームの建て替えやリフォームを検討する際、間取りや予算の計画に目を奪われがちですが、真っ先に確認すべきは「敷地に接する道路の条件」です。購入時や新築時には問題にならなかった土地でも、現在の建築基準や測定基準に当てはめた際、予期せぬ制限や手続きが発生するリスクを潜んでいます。今回は、自宅をバリアフリー構造に建て替えたい60代男性Cさんの事例をもとに、土地の境界の専門家である土地家屋調査士・小川曜氏が建て替え時に知っておくべき道路幅の「表記と実態」のギャップについて解説します。※プライバシーに配慮し、複数の事例を再構成して記事化しています。

「図面では4mだが、実際には4mない」そんな事態が起こる原因

Cさんは、自宅の土地の図面には道路両端の点間距離が「4.000m」と記載されていたため、「4mある」と誤認していました。このように、図面に4mと記載されていても実際の数値が下回ってしまう背景には、主に以下の2つの原因があります。

 

1.四捨五入による数値の「繰上げ」

測量の世界では、最小単位をミリメートルとし、メートル表記の場合は小数点第3位(0.000m)まで扱いますが、小数点第4位以下の数値が生じた場合には、四捨五入や切り捨て処理を行います。

 

たとえば、実際の点間距離が「3.9996m」だった場合、四捨五入により図面上は「4.000m」と記載されます。この数ミリの差により、図面上の記載は4mでも、実際の座標データから計算すると4mに満たないという事態が起こるのです。

 

2.幅員を「垂線」で計算していない

道路の幅員は、対向する境界線に対して直角(垂線)に測るのが原則です。しかしなかには、斜め方向にある折れ点間の距離が「幅員」として記載されているケースも。斜め方向の距離は、直角の距離よりも長くなるため、斜めに測って4mあっても、正しい直角で測り直すと4mに満たないという事態が生じます。

 

道路幅が4mギリギリの場合には、図面の数値を鵜呑みにせず、座標データから点間距離と垂線距離を正確に計算しなければなりません。

 

本来、これらは稀なケースなのですが、驚くべきことに、Cさんの土地では、この2つの原因の両方が当てはまっていました。

周囲の協力が不可欠となる「再査定」の手続き

道路境界の再査定は、役所と協議するだけでなく、隣接する土地の所有者や、道路の向かい側の土地(対側地)所有者との立会が必要になります。一般的な隣地との境界確定測量とは異なり、道路の幅員を正確に確定させる必要があるため、向かい側の人の協力も不可欠です。

 

場合によっては、役所が管理する道路の形状が変わる折れ点と呼ばれる少し離れた場所までも確認を求められることもあり、道路幅員を再査定する手続きは、相応の時間と労力がかかります。

 

Cさんも、折れ点までの確認が必要とされたため、向こう三軒両隣(隣地対側両隣)だけでなく、さらにその先の地権者の人にも立会をお願いすることになりました。

次ページ立会に対する近隣からの困惑の声

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている及び事例を合わせて記載している部分があります。

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