入国管理局は「雇用する企業の信頼性」も審査
外国人の就労に関する在留資格を審査するうえでは、対象外国人本人について審査するのはもちろんのこと、その外国人を受け入れる側の会社についても審査されます。
故に、申請書類の添付資料として、会社の登記事項証明書や定款、会社案内、財務諸表、法定調書合計表、許認可の証明書などを求められます。新設会社ですと、事業計画書なども必要になってきます。外国人を雇う会社がどのような会社なのか判断するうえで必要なんですね。
一口に会社といっても、実態がわからない休眠会社や出来立てほやほやの一人会社もあれば、従業員数万人、社歴も数百年のような会社もありますから、入国管理局としては、外国人を雇えるしっかりした企業なのかどうか審査する必要があるわけです。
安定性・継続性の高い企業ほど書類審査は迅速
さて、入国管理局へ就労の在留資格に関する申請を行う際には、非常に多くの資料を提出する必要があります。会社に関する資料は、上記でも少し触れましたが、それ以外にも、当然、対象外国人に関する大学等の卒業証書や成績証明書、履歴書、資格の合格証等々、資料は多岐にわたります。
これらを全て揃えて申請するのは、会社にとっても意外と負担がかかるものです。年に1人の受け入れならまだしも、多くの外国人労働者を受け入れるグローバル企業などですと、かなりの事務負担がかかってきます。
現在、企業活動の国際化が進み、外国人労働者の採用が加速していく中、在留資格申請に関する事務手続きの簡素化及び迅速化に対応するべく、入国管理局では、外国人労働者を受け入れる企業を、その規模によって4つのカテゴリーにランク分けしています。そして、そのカテゴリーごとに提出書類の種類(量)も分けています。その4つのカテゴリーを以下に示します。
●カテゴリー1・・・上場企業等
●カテゴリー2・・・前年分の職員の給与所得の源泉徴収税額が1500万円以上の企業
●カテゴリー3・・・前年分の職員の給与所得の源泉徴収税額が1500万円未満の企業
●カテゴリー4・・・法定調書を出せない新設の会社
当然ですが、カテゴリー1が一番信頼性が高く、カテゴリー4が一番信頼性が低く評価されるでしょう。これにより、提出書類も信頼が高いカテゴリー1、2は少なく、カテゴリー3、4と徐々に多くなっていきます。
申請書類が少なければ、それだけ審査も早く処理されますので、カテゴリー1、2の企業は、審査手続きの迅速化の恩恵を受けることになります。誰もが知っている大企業と昨日今日できた新設企業とでは、信頼性が異なることは言うまでもありません。カテゴリー4の会社は、どのような事業をどのくらいの規模でどのような計画で行っていくのか書面で示す必要がありますので、多くの提出書類が求められ、審査にも時間がかかることは、ある意味しょうがないことですね。
ここでも、企業の事業運営の安定性や継続性が審査されているということになります。
今後、外国人の雇用をお考えの事業経営者は、自社がどのカテゴリーにあたるのか知っておく必要がありますね。