消費税の増税に伴い、看板の賃料アップを交渉したが…
12.消費増税を味方につけろ!
個人の入居者では、消費税は無関係だが、法人などのテナントが入っていると家賃には消費税がかかる。つまり、増税となると消費増税分の家賃収入が増える。個人で物件を購入している場合、課税所得が一定金額を超えなければ消費税を納める必要はないので、増税の収入がそのまま賃料増となる。
私が一棟目に購入した物件には、法人の事務所以外に「看板」の収入があった。消費増税は紳士的に対応してくれる法人とそうではない法人がいるので注意が必要だ。不動産業界には自社の利益しか考えていないクソ業者がまだいるので、そんなクソ業者の「看板」問題のやり取りを紹介する。
この「看板」は、売主が売却する際に「4万5000円/月を支払うからそのまま設置してほしい」と言われたものだ。この当時、不動産投資は全くの素人だった私は、引渡しの際に、売主が作ってきた賃貸借契約書を吟味することなく、色んな契約書のサインに紛れて、この賃貸借契約書にもサインしていた。
今回、焦点となる消費税は、契約書上、4万5000円(消費税込み)の記載だった。
5%から8%の消費増税はどのように解釈されるのか、もちろん私は、値上がりするのだから、その分、値上げを要求した。ちなみにこの看板、夜間は電気がつき、その電気代は私が支払っている。そして、電気代は交渉の余地なく値上がりする。どう考えても、消費税増税に伴い、私が支払う電気代は増えるので、当然のように看板収入も増税を転嫁させてもらわないと、私の収益が減少する。
ところが、「看板」企業の担当者からの回答は、契約書には税込み4万5000円と記載されているから賃料アップはNGというものだった。
完全になめられている。やり方を変えて、私からではなく、入居者募集時のみ業務委託している管理会社A社から、賃料アップを打診した。1~2週間先方で検討してもらったが、結果、賃料アップはNGとのこと。
「消費税転嫁対策特別措置法」を盾に再度交渉
完全になめられている。管理会社A社さんも、私が完全に管理業務を委託していれば、もう少しがっちり交渉してくれるのかもしれないが、無償でお願いしている業務なので、私もこれ以上はA社さんには頼れない。看板料金4万5000円(消費税込み)の賃料アップを容認しない悪徳企業A。完全になめられていたが、頭にきた私は、ひとまずインターネットでゴリゴリ調査。このような悪徳業者を取り締まるべく、『消費税転嫁対策特別措置法』というものがあることが判明した。
この悪徳業者に「消費税転嫁対策特別措置法」って知っているかと問うてみた。さらにぺーぺー社員と話しても埒があかないから、社長出してくれない? と担当者を脅してみた。それなりに人数がいる株式会社なので、たかだか数千円/月の値上げのために、わざわざ社長が出てくることもないだろう。とにかく、このペーペー担当者程度では話にならないよと伝えてやりたかった。悪徳クソ会社の担当者もようやく折れて、めでたく約1300円/月の賃料アップに成功!
たかだか、1300円/月と思うことなかれ、約1万5600円/年の賃料アップ。表面利回り7%で売却できたと仮定すると、売却値は22万3000円アップ。このように、小さいことでも1つ1つの積み重ねが不動産の価値を上げていく。目の前の1つ1つのトラブルに全力を尽くせ!
個人事業主で非課税業者なら増税分は利益に
2019年には消費税増税が控えている。これを逆手に取ると、個人で商業ビルを購入することは、メリットが大きい。なぜなら、売上(家賃)が消費税増税された金額が入金されるが、個人で非課税事業主(ほとんどは非課税業者と思う)の場合は、消費税を戻す必要はないためだ。自動的に2%(8%⇒10%)家賃が増える。
また、売却する際にも、個人事業主で非課税業者なら、受け取った消費税を戻す必要がない。これも2%程度は想定している販売価格に上乗せできる。たかだか2%なので、価格下落リスクと比較すると、微々たるものかもしれないが、世の中は微々たるものの積み上げでできている。当たり前のことをどれだけ当たり前にできるかが勝負だ。