ラオスに工場移転が進む理由とは?
<政治・経済動向>
●改革開放路線
人民革命党の一党独裁体制であるが、経済はベトナムに倣い、1980年代から改革路線へ。2015年までにGDP成長率8%以上、1人当たりGDP1,700USドルを目指す。
●ASEAN経済統合
1997年ASEAN加盟、2013年WTO加盟、ASEAN経済共同体へ合流し、2015年まで域内関税率を0~5%へ引き下げ調整中。日本とは2008年に投資協定を締結している。
<今後の展望>
●工場移転が進むラオス
タイやベトナムの人件費上昇ならびに近隣国の電力料金高騰の影響で、多数企業がラオスに工場を移転。
●インフラの改善
インフラ改善によりベトナム、タイ、ミャンマーへの輸送が容易に。タイ国境のサヴァナケット経済特区の整備が進み自動車部品や精密機械を扱う日系企業が進出。今後はタイプラスワンの動きが活発となる見込み。
<人口>
●約677万6,000人(2013年、IMF推計)
●近未来予測
2025年⇒約806万6,300万人
2050年⇒約949万7,500万人
若年層に人口が集中しており、今後の経済成長に期待ができる。しかし、ラオスは目立った産業を持っているわけではなく、多くの働き手が職を求めてタイに出稼ぎに行っているのが現状である。
高いポテンシャルを持つ証券市場
[図表1]実質GDP成長率と1人当たり名目GDP
ラオスは国連から後発開発途上国に指定されている国であり、1人当たりの名目GDPは最低水準となっている。農業が主要産業であり、国民の半数以上が自給自足の生活に従事しておりアジアで最も貧しい国ともいわれている。
[図表2]為替レートの推移(ラオスキープ/円)
ラオスの主な通貨はドル、バーツ。アジア圏内でドル通貨だけに焦点を当てると、ラオスはカンボジアの次に使用頻度が高い。1999年1月、ラオスはタイバーツ暴落の影響による通貨の大暴落を経験した前歴から、いまだにラオスキープに対する信頼が薄い。
[図表3]ラオス証券取引所ラオス総合株価指数(LSXC)(年次)
2010年にラオス証券取引所開設。ポテンシャルが高い取引所である。また、市場が若いことから、リスクが他の取引所より格段に低いといえる。将来の取引所の拡大に期待できる。
[図表4]ラオス証券取引所ラオス総合株価指数(LSXC)(月次)
2015年に入り、徐々に株価が下がっている。この影響により投資家の足踏みが起こる可能性がある。活気づこうとしているラオス市場にとって大きなデメリットを被る可能性がある。さらに資金調達面においても企業に影響を与えるであろう。