(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の住まいというと、庭付きの戸建てでゆっくり暮らす姿を思い浮かべる人もいます。しかし年齢を重ねるほど、階段や庭の手入れ、修繕、車移動の負担は大きくなるもの。日々の買い物、通院、防犯、管理のしやすさが、老後の安心を左右することもあります。

「家を守る暮らし」に疲れた夫婦が選んだ住み替え

俊彦さん(仮名・68歳)と妻の明美さん(仮名・66歳)は、子育てを終えたあとも郊外の戸建てに住み続けていました。

 

夫婦の年金収入は月30万円ほど。貯蓄は約3,800万円あり、住宅ローンも完済済みでした。

 

一見、老後の住まいに大きな問題はないように見えます。しかし実際には、家の維持が少しずつ負担になっていました。

 

庭木の剪定、外壁塗装、給湯器の交換、屋根の点検。以前は当たり前にできていた階段の上り下りも、膝の痛みが出始めた明美さんにはつらく感じられるようになりました。

 

「家に住んでいるというより、家を守るために暮らしているような気がしたんです」

 

明美さんはそう振り返ります。

 

さらに問題だったのは、車がないと生活しづらいことでした。スーパーや病院までは車で行く距離にあり、俊彦さんが運転を続けているうちは何とかなりました。

 

しかし70代、80代になっても同じように運転できるとは限りません。免許返納後の生活を考えると、夫婦は不安を感じるようになりました。

 

そこで検討したのが、駅近のタワーマンションへの住み替えです。最初は「今さら高層マンションなんて」と戸惑いもありましたが、実際に見学すると考えが変わりました。

 

駅、スーパー、クリニック、金融機関が徒歩圏内にあり、建物内には管理人や防犯設備もあります。庭の手入れや外壁修繕を自分たちで手配する必要もありません。

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、可処分所得約22.2万円に対し、消費支出は約26.4万円となっており、平均で毎月約4.2万円の不足が生じています。俊彦さん夫婦は平均より年金額が多いものの、戸建ての修繕費や車の維持費を考えると、将来の負担は決して小さくありませんでした。

 

夫婦は戸建てを売却し、駅近のタワーマンションを購入しました。高層階ではなく、エレベーター停止時にも比較的動きやすい中層階を選びました。眺望よりも、日常の使いやすさを優先したのです。

 

 

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