不動産取引における「IT重説」の全面解禁や関連技術の発展に伴い、時間や場所を選ばない「ネット不動産投資」が注目を集めています。国土交通省も「不動産ビジョン2030」でデジタル化による地域維持や利便性向上を指摘する中、市場はどこまで広がっているのでしょうか。GAテクノロジーズが実施した最新の意識調査をもとに、投資家がネット取引に寄せる「手軽さへの期待」と、いまなお残る「特有の不安」のリアルに迫ります。

広がる「ネット不動産投資」の可能性

不動産取引における重要事項説明(重説)をオンラインで実施する「IT重説」が全面解禁されたことで、インターネットを通じた不動産投資が改めて注目を集めている。

 

国土交通省は「不動産ビジョン2030」の中で、「VR(バーチャルリアリティー)を活用し、オンラインで物件を内覧できるようにすれば、過疎地域など人口減少が進行している地域にあっても、不動産業が維持され、ひいては、地域住民にとっての利便性向上につながり得る」と指摘する。ネット関連技術が急速に発展する中で、時間や場所を選ばないネット不動産(オンライン不動産=物件探しから契約までの不動産取引における一連の手続きを、インターネット上で完結できるサービスや業態)投資が今後さらに拡大する可能性がある。

ネット不動産投資の利点「場所や時間選ばない」が最多

GAテクノロジーズが25年10月に実施した調査は、投資家のネット不動産への関心がじわりと高まっていることを示している。対象は20〜50代の男女で、有効回答数は6041人だった。アンケートで「インターネットを通じた不動産投資をしたことがあるか」と聞いたところ、「ある」との回答は22.3%に達した。ネットを通じた不動産投資は、一般的な物件購入に加えてクラウドファンディングなど新たな手法も登場しており、少しずつ身近になってきているとみられる。

 

同調査で「ネットを通じた不動産投資についてどんな利点を感じるか」と質問したところ、最も多かったのは「場所や時間を選ばずに手続き(契約、管理など)を進められる」で25.8%だった(複数回答)。書籍や食品など他の商品と同様、いつでもどこでもクリックすれば手続きできる点を、消費者は最大のメリットと感じているようだ。

 

次に多かったのは「物件情報や市場データをオンラインで手軽に入手できる」(22.9%)、「アプリやオンラインツールで資産状況を簡単に把握・管理できる」(22.8%)だった。不動産業界ではアナログな取引の改善が長年の課題となっているだけに、投資家はネットで手軽に詳細な情報を得られることも重視している。「契約の進捗や収支状況がオンラインで可視化されている」「専門家とオンラインで気軽に相談できる」との回答もそれぞれ2割強を占めた。

「IT重説」解禁、不安の声もなお残る

宅地建物取引業法(宅建業法)第35条によると、従来の不動産取引においては、取引の専門家である「宅地建物取引士(宅建士)」から対面で説明を受ける必要があった。しかし、2021年に「IT重説」が全面解禁されたことで、パソコンやスマートフォンなどを通じて双方向の対話ができる環境であれば、自宅にいながら説明を受けられるようになり、現在では契約手続きまでをネット上で完結できるようになっている。

 

一方、調査でネット不動産投資への不安を聞いたところ、「物件を直接見ずに契約することへの抵抗感がある」との声が38.7%(複数回答)と最多を占めた。「担当者の顔が見えないまま高額な取引をすること」(34%)、「インターネット上の情報が多すぎて、何を信じれば良いかわからない」(32.8%)との回答も多かった。

 

国交省は「不動産ビジョン2030」で「不動産業分野においても積極的に情報化を推進する必要があり、その実現に向けた制度インフラの整備に努めていく必要がある」と強調している。IoTやAIの活用といった不動産のデジタルトランスフォーメーション(DX)には、国交省などが進める制度設計はもちろん、個人と不動産業者の間にある「情報の非対称性」の解消など、投資家がより安心して取引できる環境づくりが不可欠と言えそうだ。

 

 

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