「文章作成」から「エージェント」へ、企業のAI活用が急拡大
生成AI(人工知能)活用の効果を実感するビジネスパーソンが急増している。なかでも8割の人が効果を感じているのは、もともと生成AIが得意とする「文書作成」や「時間の短縮」だ。さらに、企画やプロジェクトなどの「アイデア出し」と回答した人も7割以上にのぼる。
生成AIは単なる文章作成の道具を超え、人間の代わりに物事を考え、業務を自律的に処理する「エージェント(代理人)」へと進化しつつある。米アンソロピックなどが先端AIを相次いで投入するなか、企業のAI活用の幅は急速に拡大している。
AIで「アプリ作成」「ワークフロー自動化」も4割
生成AIのエージェント化を如実に示したのが、FIXERが2026年2月に実施した企業経営者らへのアンケート調査だ。同社は全国の従業員300人以上の企業の経営者や管理職などを対象に調査を行い、800件の回答を得た。
調査で「どのような業務で生成AIの効果を実感したか」を尋ねたところ、最も多かったのは、従来型の「文書や資料の作成/校正にかかる時間の短縮」だった。「大いに実感した」「ある程度実感した」を合わせて82.4%を占める。次に多かったのは「情報検索/収集の手間削減や速度の上昇」で75.8%だった。
特筆すべきは、文章作成といった「従来型」にとどまらない活用方法の広がりだ。調査によると、3番目に多かったのは「アイデア出しにかかる時間の短縮」で73.5%に達した。さらに、「業務アプリ作成など専門外の分野に挑戦する機会の増加」(43.8%)、「AIエージェント利用によるワークフローの自動化」(42.5%)、「同僚とのコミュニケーション機会の増加」(40.2%)といった回答もそれぞれ4割を占めた。
生成AIの進化は著しく、人間が事細かに指示を与えなくても、AI自身がさまざまなツールを自動的に使い分けながらタスクを完遂する「エージェント化」が進む。今後は企業や個人がAIエージェントを使いこなし、業務の効率化だけでなく、これまでにないビジネスチャンスの発見や自動化のアイデア考案を通じたドラスティックな業務改善に取り組むことが予想される。
先端AIの登場で脅威論も
こうした傾向は、帝国データバンクが同年3月に実施した「生成AIに関する企業の動向調査」にも表れている。同調査でも、最も活用されている業務は「文章の作成・要約・校正」で45.1%に達した。一方で「企画立案時のアイデア出し」との回答も3番目に多く、全体の11%を占めている。「データの集計・分析」(7.4%)や「コード作成などのプログラミング支援」(5.9%)といった、より高度な専門業務への活用も増えている。帝国データバンクも、企業の生成AI活用について「文章作成中心の使い方に加え、専門業務への広がりも見られる」と分析する。
生成AI業界では、米アンソロピックが新型モデル「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」を開発するなど、極めて高度なAIの登場が相次ぐ。システムの脆弱性を検知する性能の高さゆえに「Claude Mythos」への脅威論が浮上する一方、企業にとってはAIを活用しなければ国際競争に遅れを取り、サイバー攻撃にも対応できない時代になりつつある。企業のAI活用の幅が広がりを見せている背景には、こうしたビジネスリスクに対する強い危機感があると言えそうだ。
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