(※写真はイメージです/PIXTA)

物価上昇や人手不足が続くなか、企業による賃上げは日本経済の重要な課題となっている。経済産業省はこのほど、「賃上げ促進税制」御利用ガイドブック(令和8年6月15日公表版)を公表した。今回の改訂版は、令和8年度税制改正の内容を反映したもので、全企業向け税制と中堅企業向け税制の対象・適用要件・税額控除の仕組みが改めて整理されている。新しいガイドブックから、変更点を読み解いてみたい。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

中堅企業向け税制は継続するが、要件が厳格化

中堅企業向け税制は、常時使用する従業員数が2,000人以下の法人・個人事業主(一定のグループ要件あり)を対象に、令和9年3月31日まで(個人事業主は令和9年まで)適用が継続される。ただし、適用を受ける事業年度・年によって要件等が異なる点に注意が必要だ[表]。

 

※ 中堅企業向け税制の「適用継続」は恒久化ではなく、令和9年3月31日までに開始する事業年度を対象とした時限措置です。同期限の到来をもって廃止される予定です。  ※ 教育訓練費上乗せ措置の廃止は中堅企業向けについては令和8年4月1日以降開始事業年度から確定していますが、中小企業向けの教育訓練費上乗せの廃止時期は、令和8年度税制改正大綱には明記されておらず、今後の法案等で確定する予定です。本表は中堅企業向け制度を対象としています。  ※ 本表は令和8年度税制改正大綱(令和7年12月19日与党公表)の内容に基づく一般的な概要です。今後国会に提出される法案等において、内容が変更される可能性があります。
賃上げ促進税制(中堅企業向け)の見直し 比較表 ※ 中堅企業向け税制の「適用継続」は恒久化ではなく、令和9年3月31日までに開始する事業年度を対象とした時限措置です。同期限の到来をもって廃止される予定です。

※ 教育訓練費上乗せ措置の廃止は中堅企業向けについては令和8年4月1日以降開始事業年度から確定していますが、中小企業向けの教育訓練費上乗せの廃止時期は、令和8年度税制改正大綱には明記されておらず、今後の法案等で確定する予定です。本表は中堅企業向け制度を対象としています。

※ 本表は令和8年度税制改正大綱(令和7年12月19日与党公表)の内容に基づく一般的な概要です。今後国会に提出される法案等において、内容が変更される可能性があります。

 

令和6年4月1日から令和8年3月31日までの間に開始する事業年度(個人事業主は令和7年・令和8年)については、継続雇用者給与等支給額が前事業年度より3%以上増加した場合に10%、4%以上増加した場合に25%の税額控除が受けられる。これに教育訓練費の上乗せ(5%)や子育て・女性活躍支援の上乗せ(5%)を組み合わせれば、最大35%の税額控除が可能だった。

 

一方、令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度(個人事業主は令和9年)からは、必須要件のハードルが上がる。継続雇用者給与等支給額の増加率が4%以上で10%、5%以上で15%、6%以上で25%の税額控除となり、従来の3%・4%の要件は使えなくなる。さらに教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止され、子育て・女性活躍支援の上乗せ(5%)のみが残る。この結果、最大控除率は35%から30%へと低下する。

 

いずれの期間も、控除上限額は法人税額又は所得税額の20%である点は変わらない。

 

八ツ尾氏は、新たに求められる6%の賃上げ要件について、「物価高や深刻な人手不足の現状では、中堅企業にとってかなり苦しい。しかし、人材確保のためには6%賃上げはやらなければならない」と話す。

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