日本の株式市場は「まだしばらくはいい投資先となる」
私は個人的に日本株をすでに売却しているが、高市首相就任による強気相場で買い戻す気はない。今もそうだが、多くの人が「投資は簡単だ」と信じ始めたとき、それこそがまさに崩壊の前兆だからだ。
けれど、日本株を二度と買わないと言っているわけではない。過去30年以上もの間、日本株が停滞してきたという事実には逆に魅力を感じている。歴史をひも解けば、長期停滞の後には往々にして大きな上昇相場が訪れる。もし政府が投資家に税制優遇などのインセンティブを与えれば、暴落後、日本市場が再び強気相場を経験する可能性はあるからだ。
しかしながら、日本には深刻な人口減少と巨額の政府債務という2つの大きな課題がある。これらが劇的に改善しない限り、50年後の日本は今とはまったく違う国になっている可能性が高い。
それでも、日本が世界有数の豊かさを築いてきた国であることに変わりはない。このバランスをどう見るかが、投資家にとってのポイントなのである。
今は政府が日本への投資を促進しようと全力で取り組んでいる。そのため、まだしばらくは、日本の株式市場はいい投資先となるだろう。
健全な企業であれば、株価が大幅に下落したときが長期投資の好機である。特に日本株は、PBR(1株当たり純資産倍率)やPER(株価収益率)などの指標で見ても、ほかの先進国市場に比べて割安である。2025年9月時点で、日本株のPERは15.57倍であり、過去5年の平均14.87倍と比較しても高くはない。
また、日本の企業は近年、ガバナンスの改善やコスト削減、配当政策の見直しなどを進めており、収益性が向上している。こうした企業は長期的な成長が期待できると考える。
新NISAを「非課税」のメリットだけで投資するのはおすすめしない
この転換点において、個人投資家の資産形成手段として注目されているのが、NISA(少額投資非課税制度)である。
NISAは、個人が年間一定額までの投資から得られる利益を非課税とする制度で、2014年に導入された。2024年に制度変更され、投資枠は拡大、非課税保有期間は無制限となった。NISAは、個人の資産形成を促進することを目的としており、特に長期投資を志向する投資家にとって魅力的な選択肢となっている。
過去のデータを見てもこの手の制度の導入はいいもので、個人投資家の株式市場への参加が増加する。たとえば、2014年のNISA導入直後には、個人投資家からの株式市場への資金流入が顕著に増加し、その後も安定的に推移している。これにより、個人の資産形成が進むとともに、企業への資金供給が活発化し、経済全体にいい影響を与えた。
NISAは「非課税」という大きなメリットがあるが、そこだけに惹かれてお金を投じるのはお勧めできない。投資対象や運用方法を理解しないまま始めることは、危険だからである。成功するためには、事前の綿密な調査と深い理解が不可欠だ。
投資は「簡単にお金を稼ぐ手段」ではなく、計画と準備を伴う複雑な行為である。特に、現在のような強気相場の終焉が近づいている可能性がある局面では、冷静な判断と適切なリスク管理が求められる。
投資の正確なタイミングについて私は予言できないが(本当に予言できる人がいたら私にも教えてほしい)、タイミングを待ちたいという人も、NISA口座だけは開設しておくべきだ。自分がここだと思うタイミングがきたときにすぐ動けないのは良くない。
ジム・ロジャーズ
投資家
