円安を喜んでいるとしたら愚かな行為…世界的な投資家ジム・ロジャーズが「自国通貨の価値の下落はいかなる理由であれ好ましくない」と警鐘を鳴らすワケ

円安を喜んでいるとしたら愚かな行為…世界的な投資家ジム・ロジャーズが「自国通貨の価値の下落はいかなる理由であれ好ましくない」と警鐘を鳴らすワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年6月現在、日本円は1ドル160円台の超円安で推移。この円安を追い風に、日経平均株価は最高値を更新しています。その一方、一般の消費者からは「株価は上がっても給料は上がらない」「物価ばかりが高くなる」という声を耳にします。このような状況は、何によって引き起こされているのでしょうか。本記事では、ジム・ロジャーズ氏の著書『大暴落前夜 狂宴バブル後の生き抜き方、資産の守り方』(プレジデント社)より一部を抜粋・編集。世界的な投資家であるジム・ロジャーズ氏の言葉とともに、日本経済が「株高」と「実質賃金の低下」で二極化する背景をひも解きます。

世界は今、通貨価値が下がって物価が上がる「スタグフレーション」傾向に

常々私は言っているが、中央銀行が紙幣を刷り、政府が国債を買い入れるといった金融政策で経済を立て直した国は、歴史上、一つもない。結局は通貨の価値が下がる可能性が高いからだ。実際、日本は今まさにそのような円安状態となっている。今の日本には、低金利政策や量的緩和によって、大量に生み出された余剰資金がある。私はこのような余剰資金を「フリーマネー」と呼んでいる。フリーマネーは日銀の政策により生まれたお金と言っていいだろう。

 

現在、日本におけるフリーマネーの多くは、株式市場と不動産市場へ流れている。日本の株式市場関係者ならびに不動産関係者は、日銀の金融政策の恩恵を実際に受けているとも言える。しかし、このような恩恵はいつまでも続かない。フリーマネーは経済の歪みを引き起こすだけなのだから。

 

世界は今、通貨の価値が下がり、物価が上昇するインフレ傾向にある。ロシアのウクライナへの侵攻の影響なども大きい。このような状況下、円安は加速し、世界中の投資家たちから日本円は捨てられ始めているのである。現在の日本の状況を見ていると、1976年にイギリスが財政危機に陥ったときの状況とよく似ているように感じられ、私は心配でならない。

 

日本政府は、指定した利回りで国債を際限なく買い入れることを決定し、その原資として、日銀は紙幣を際限なく印刷し続ける。自国の紙幣を刷り続ければ、価値が下がるのは必然で、これは経済に詳しくない人でもわかるシンプルなことだ。

 

私は、日本の現在の財務状況は、ウクライナと戦争をしているロシアよりも悪いと思っている。国の負債額がロシアと比べてはるかに大きいからだ。国債の利回りが世界の主要国と比べて低いのも問題だ。つまり現在の円安は、日銀が長年続けていたゼロ金利政策が原因だと結論づけることができるのだ。

 

 

ジム・ロジャーズ

投資家

 

 

※本連載は、ジム・ロジャーズ氏の著書『大暴落前夜 狂宴バブル後の生き抜き方、資産の守り方』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

大暴落前夜 狂宴バブル後の生き抜き方、資産の守り方

大暴落前夜 狂宴バブル後の生き抜き方、資産の守り方

ジム・ロジャーズ

プレジデント社

巨大バブル崩壊目前! 暴落相場の中では、冷静な者、備えた者だけが生き残れる。 米国では史上類のない長期の強気相場が継続中。日経平均株価も史上最高を記録しながら高値を推移。「まだまだ上がる」という人々の熱狂の裏で…

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