相続手続きで初めて知った…母が誰にも言わず背負っていたもの
浩司さんは最初、母に黙って援助を受けていた叔母に複雑な感情を抱きました。しかし残された手帳を読むうちに、その思いは少しずつ変わっていきます。
手帳には、送金額や生活費のメモとともに、「今月は少し苦しいけれど、妹が安心して眠れるならいい」と書かれていました。節子さんにとってその援助は義務ではなく、家族を見捨てられない思いから続けていたものだったのです。
ただし家族間の援助が長く続くと、支える側の生活を圧迫することがあります。高齢期には医療や介護の費用が急に必要になることもあり、善意だけで抱え込むには限界があります。
介護保険制度では、要介護認定を受けることで訪問介護や通所介護などのサービスを利用できます。また、生活に困窮する場合には自治体の福祉窓口や地域包括支援センターなどに相談する道もあります。家族だけで支えようとすると、必要な制度につながる機会を逃してしまうこともあります。
浩司さんは、叔母にも事情を確認しました。叔母は涙を流しながら「お姉さんに甘えてしまった」と話しました。責める気持ちが消えたわけではありません。それでも浩司さんは、母が望んでいたのは誰かを責めることではなく、妹が暮らしていけることだったのだろうと思いました。
毎月の引き出しや送金の記録は、母が自分の暮らしを守りながら、妹を支え続けた証でもありました。
親が元気に見えても、家計や親族関係の悩みを子どもに話しているとは限りません。だからこそ、無理に踏み込むのではなく、困ったときに相談できる関係をつくっておくことが大切です。
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