(※写真はイメージです/PIXTA)

孫へのお小遣いやプレゼントは、多くの祖父母にとって楽しみのひとつです。喜ぶ顔を見ると、つい財布のひもが緩むこともあるでしょう。しかし、それが当たり前になると、家計だけでなく家族関係にも影響します。たとえ経済的に余裕があったとしても、求められるたびに応じているうちに、思わぬ悩みや戸惑いを抱えることがあります。

「喜ぶ顔が見たくて」…少しずつ増えていった孫への出費

良男さん(仮名・68歳)は、妻と二人で暮らしています。夫婦の年金は月28万円ほど、貯蓄は約4,000万円。住宅ローンは完済しており、老後資金としては比較的余裕がある方でした。

 

近くには長男夫婦が住んでおり、小学生の孫が2人います。良男さんにとって、孫は目に入れても痛くない存在でした。週末に遊びに来ると、駅前のファミリーレストランへ連れて行き、帰りにお菓子や文具を買ってあげる。それが何よりの楽しみでした。

 

最初は、誕生日やお正月に少し多めのお小遣いを渡す程度でした。

 

「じいちゃん、ありがとう」

 

そう言って笑う孫を見るたび、良男さんは誇らしい気持ちになりました。自分が現役時代に頑張って働いてきたお金で、孫の喜ぶ顔が見られるなら悪くない。そう思っていたのです。

 

ところがいつの頃からか、孫の言葉が少しずつ変わっていきました。

 

「じいちゃん、今日も何か買ってくれる?」

 

「ゲームの課金カードがほしい」

 

「友だちと出かけるから、お小遣いちょうだい」

 

悪気はないのでしょう。子どもらしい甘えだと分かっていました。それでも、会うたびにお金の話が出るようになると、良男さんの中に小さな違和感が生まれました。

 

ある日、孫が玄関に入るなり言いました。

 

「じいちゃん、お小遣いちょうだい!」

 

以前なら笑って財布を出していたはずです。しかしその日は、良男さんの手が止まりました。孫の笑顔が、自分に向けられたものなのか、お金に向けられたものなのか、分からなくなってしまったのです。

 

「そんなふうに言うもんじゃないよ」

 

良男さんが静かに言うと、孫は不満そうに口を尖らせました。その様子を見て、良男さんは胸が痛みました。かわいい孫を責めたいわけではありません。ただ、自分がこれまで何でも買い与えてきた結果なのかもしれないと感じたのです。

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、可処分所得約22.2万円に対し、消費支出は約26.4万円で、平均では毎月約4.2万円の不足が生じています。良男さん夫婦は年金も貯蓄も比較的多いものの、医療費や介護費、住宅修繕費を考えれば、無制限に使えるお金ばかりではありません。

 

良男さんは、孫に渡した金額を家計簿で振り返りました。外食、プレゼント、ゲーム代、お小遣い。月によっては5万円を超えていることもありました。

 

「これを続けていいのか」

 

そう思ったとき、孫の笑顔を見ることが少し怖くなったのです。

 

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