不仲なお隣さんから届いた「封書のお願い」…無下に断ると、将来我が家が「買い叩かれる」かもしれない理由【土地家屋調査士が解説】

不仲なお隣さんから届いた「封書のお願い」…無下に断ると、将来我が家が「買い叩かれる」かもしれない理由【土地家屋調査士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「土地の境界立会」を経験したことがありますか? ある日突然、お隣から封書や口頭で「土地の境界線を確認させてほしい」と依頼されたら、多くの人が戸惑うはず。「仕事が忙しくて時間がない」「普段からお隣とはあまり仲がよくないから関わりたくない」――そんな理由でお断りしたくなる気持ちも無理はありません。今回は、お隣からの土地境界立会の依頼に悩む40代女性Aさんの事例をもとに、土地の境界の専門家である土地家屋調査士・小川曜氏が「境界立会」について解説します。※プライバシーに配慮し、複数の事例を再構成して記事化しています。

立会を拒否することで、将来的に不利益を被る可能性も

立会を断りたいと考えているAさんですが、拒否すると将来的にいくつかトラブルが起こる可能性があります。

 

まず、Aさん自身が土地を売却する際、境界を確認できない場合があります。

 

たとえ過去に境界を決めていたとしても、数年が経過すれば、現地の工事などで境界標がなくなったり、隣の所有者が変わったりと環境は変化します。将来Aさんが売却しようとした際、買主から「改めて境界の確認書類を取り直すこと」を契約の条件にされるケースがあるのです。

 

もし過去にお隣からの立会を無下に断っていれば、今度はこちらが協力を求めたときに「あのとき断られたから」と拒否されかねません。過去に立会を行っているにもかかわらず、自分の売却時に協力が得られず、最終的に「境界が未確認な土地」として安値で売却せざるを得なくなるという、損失を被る可能性があるのです。

土地の境界は「その場限り」ではなく、管理し続けるもの

土地の境界は、一度立会および確認を行えば終わりというわけではありません。大切なのは、明確になった境界を今後も「良好に維持管理し続けられるか」という点にあります。

 

たとえ境界が決まっていても、境界標が亡失した際に、復元のための協力をお隣から得ることができなければ、大きな損失が生じます。境界点を確定して終わりではなく、これを機に境界を管理し続けるものとして、大切に維持管理していきましょう。

 

筆者の助言を受け、立会に参加することにしたAさん

以上のリスクと境界の仕組みをAさんに伝えたところ、深く納得され、後日お隣との立会に臨まれました。結果としてはトラブルもなく、手持ちの図面どおりに現地の境界標で正しい位置を確認できたそうです。

 

後日、Aさんから下記のような連絡をいただきました。

 

「隣地の測量実務者の方から、『今回立会と確認ができたことで、Aさんが将来土地を測量する際にだいぶ手間が減って、測量に費やす費用も時間も軽減されますよ』といっていただきました。今回立ち会って本当によかったです。境界立会に不信感があったのですが、立ち会ったことで境界も明確になり、すっきりしました」

 

お隣との境界を明確にすることは、お互いの資産の価値を守るための「共通の利益」となります。もしあなたのお隣から立会の依頼が届いた際は、少し手間かもしれませんが、将来の自分の資産を守るためにも、前向きに協力することをお勧めします。

 

 

小川 曜

土地家屋調査士

 

 

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※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている及び事例を合わせて記載している部分があります。

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