「命を削って働いたのに…」月収34万円・32歳女性、“月100時間超え”の残業地獄の果てに絶望した〈まさかの給与明細〉【社労士が「名ばかり管理職」の違法性を解説】

「命を削って働いたのに…」月収34万円・32歳女性、“月100時間超え”の残業地獄の果てに絶望した〈まさかの給与明細〉【社労士が「名ばかり管理職」の違法性を解説】

社運を賭けたプロジェクトのリーダーに抜擢され、「マネージャー」に昇進したミサキさん(仮名・32歳)。しかし、月100時間を超える過酷な残業地獄を乗り越え、期待を胸に確認した給与明細には“まさかの金額”が記載されていました。さらに「管理職だから残業代は出ない」という上司の非情な言葉に絶望することに……。本記事では、多くの会社員が陥る「名ばかり管理職」の違法性と、未払い残業代を取り戻すための具体的な手段について、社会保険労務士の内海正人氏が解説します。

「名ばかり管理職」の違法性を社労士が解説

今回のミサキさんのケースは、世間で多くみられる「名ばかり管理職」の典型例です。会社側は「管理職にしたから残業代は払わなくていい」と主張していますが、これは労働基準法上、明確な違法となる可能性が極めて高いといえます。

 

なぜ会社の主張が間違っているのか、法的な観点からわかりやすく解説します。

 

「管理職」と「管理監督者」はまったく違う

多くの経営者や上司が勘違いしている(あるいは故意に混同している)のが、「社内の役職(管理職)」と「労働基準法上の『管理監督者』」の違いです。

 

労働基準法第41条第2号では、「監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)に対しては、労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しない」と定めています。そのため、本物の管理監督者であれば、残業代や休日手当を支払わなくても違法にはなりません。

 

しかし、会社が勝手に「マネージャー」「店長」「課長」といった肩書き(役職)をつけたからといって、自動的に法律上の「管理監督者」になれるわけではありません。

 

法律上の管理監督者に該当するかどうかは、肩書きではなく、「職務内容」「権限」「待遇」などの実態から厳格に判断されます。

 

「管理監督者」と認められるための3つの厳しい基準

過去の最高裁判所の判例等により、労働基準法上の「管理監督者」と認められるには、以下の3つの要件をすべて満たしている必要があります。

 

1. 職務内容と権限:経営者と一体的な立場にあり、採用や解雇、人事考課、業務執行における重要な決定権を持っていること。

2. 労働時間の裁量:自分の労働時間について裁量があり、出退勤の時間を自由に決められること。遅刻や欠勤によるペナルティがないこと。

3. 適切な待遇:基本給や手当において、その地位にふさわしい十分な優遇(高額な給与など)を受けていること。

 

ミサキさんの場合、すべての要件を満たしていないため、法律上は「一般の労働者」と同じ扱いになります。したがって、会社が残業代を支払わないのは「割増賃金の未払い」という労働基準法違反に該当します。

 

ミサキさんの実態(ケース分析)

1. 単なるプロジェクトの進行管理役であり、部下の採用・解雇権や、会社の重要な決定権は持っていなかった。

2. 朝8時の出社を義務づけられ、業務量が多すぎて終電まで働かざるを得ず、時間的な自由は一切なかった。

3. 月収34万円に対して役職手当はわずか4万5,000円。時給換算すると一般社員(アルバイト以下)よりも低くなっている。

 

このような、実態が伴わないのに肩書きだけ与えられて残業代を削減される労働者のことを、世間では「名ばかり管理職」と呼びます。

次ページ未払い残業代を取り戻すために集めるべき「3つの証拠」

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