【CFPが解説】住宅購入時に見落としがちな「資金計画と金利」の現実
住宅購入は人生最大の買い物といわれますが、実際にはAさんのように資金計画のシミュレーションを十分に行わず、金融機関の借入可能額だけを頼りに契約へ進んでしまうケースが少なくありません。
住宅ローンという数千万単位の契約において、将来の家計を破綻させないために知っておくべき注意点を解説します。
住宅ローン選びには時間をかける
住宅ローンは膨大な年月をかけて元利金を返済する金融商品です。支払う利息だけでも数千万円に及ぶため、家計への影響という点では住宅設備や間取り以上に重大です。しかし、多くの人が住宅ローン選びを簡単に済ませています。
住宅金融支援機構の住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)では、65.6%が住宅ローンを一切比較せずに決定しているという結果も出ていますが、住宅購入では本来住宅ローン選びに最も時間をかけるべきです。
ライフプランを考えたうえで住宅ローンを組む
住宅購入時、Aさんは第一子がまだ幼く、妻もパート勤務でした。しかし将来のライフプランを考えれば、第二子の誕生や妻の退職や育休、教育費の増加や車の買い替え、老後資金準備などは十分に想定できたはずです。
住宅ローンは現在の収入だけで選ぶものではなく、将来の家族構成や支出の変化も含めて判断する必要があります。ライフプランを作成せずに住宅ローンを選ぶ行為は、地図を持たずに長距離ドライブへ出発するようなものです。
「借りられる額」と「返せる額」は異なる
金融機関が貸してくれる金額と、家計が無理なく返済できる金額は異なり、住宅ローン審査で承認されたから安全ではありません。
実際にAさんも5,800万円を借りる審査に通りましたが、その後の人生で起こる変化までは審査に反映されません。住宅ローンの適正額は、銀行ではなく家計が決めるのです。
金利の仕組みと上昇リスクを理解して選ぶ
将来の金利動向を正確に予測できる人はいません。しかし、2021年前後の固定金利が歴史的な低水準(大底圏)にあった事実は、当時のデータから十分に認識できました。それにもかかわらず、「変動金利一択」という情報ばかりが注目されたのです。
変動金利は低金利というメリットがある半面、常に金利上昇リスクを負います。変動金利を選ぶのであれば、「住宅ローン残高を計画的に減らす」「繰上げ返済の原資を積み立てる」「固定金利への借り換え基準を決めておく」といった、将来の金利上昇へ備えた戦略が不可欠です。
