企業経営において「お金増やす」ためのカギは貸借対照表の分析にあります。本連載では、株式会社アイ・シー・オーコンサルティング主任コンサルタントで、公認会計士・税理士の福岡雄吉郎氏の著書『決算書で面白いほど会社の数字がわかる本』(あさ出版)より一部を抜粋し、経営効率を上げるための決算書の読み方を、図解を用いて分かりやすく説明します。

貸借対照表の左右で分かれる「資産」と「資本」

「X社は、すごく高いビルを持っていて、金持ちだな~」

 

ビルを見ると、確かに「X社」と看板が掲げられています。しかし、それは本当にX社の持ち物なのでしょうか?

 

全国展開している小売店や飲食店の何百、何千という店舗は、すべて会社の持ち物なのでしょうか?答えは貸借対照表を見れば、わかります。

 

貸借対照表の左側には、現金や建物等、会社のあらゆる財産が載っています。だから、もし建物や土地が見当たらなければ、あるいは意外と少なければ、それらは、すべて借り物というわけです。

 

【図表1】 会社の本当のフトコロ事情を探る①


ところで、みなさんがお持ちの財産(現金、洋服、自宅や自動車)は、働き始める前から持っていたお金で買ったのでしょうか? あるいは、頑張って稼いだ給料から買ったのでしょうか?

 

財産を買うためのお金のことを「資本」といいます。もともと持っていたお金だろうが、給料で稼いだお金だろうが、自分のお金のことは「自己資本」といいます。

 

一方で、自宅や自動車を買ったときに銀行でローンを組んだという方や、来月10日に洋服代(クレジットカード)の引落としが待っている……という方もいます。この場合、財産を“他人のお金”で買ったことになります。つまり、借入金や未払金は、「他人資本(負債といいます)」なのです。資本には、自己資本と他人資本があること、そしてそれは、貸借対照表の右側に載ってくることを、ご理解ください。

 

【図表2】 会社の本当のフトコロ事情を探る②

総資産と総資本が必ず釣り合う「バランスシート」

会社の財産(「資産」といいます)と資本を並べたものが、貸借対照表です。これをみれば、見かけのイメージとは違う、会社の本当のフトコロ事情が見えてくるのです。

 

貸借対照表は、別名で「バランスシート」と呼ばれます。左と右が必ず釣り合うから(バランス)、こう呼ばれます。

 

さて、あなたの持っている資産を左に、これから支払う負債(他人資本)を右に書き出してみてください。ふつうは、資産のほうが負債より大きくなりますね。

 

資産から負債を引くと、プラスの差額が現れます。これこそ、あなたが出したお金(自己資本)なのです。

 

【図表3】貸借対照表の左と右は必ず一致する

本連載は、2016年7月9日刊行の書籍『決算書で面白いほど会社の数字がわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

決算書で面白いほど 会社の数字がわかる本

決算書で面白いほど 会社の数字がわかる本

井上 和弘 福岡 雄吉郎

あさ出版

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