(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の経営状況やビジネスモデルの「真の実力」を見極める際、単に売上高や利益の数字を確認するだけでは不十分。重要なのは、複数の数字を組み合わせた「財務比率」を読み解くことにあって——。本記事では、西山茂氏の著書『会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス 決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする』(日経BP)より、大手通信三社の財務データを例に、ROEやROAといった重要指標の本質的な意味と使い分けを解説する。

ROEの算出方法

ROEは、前述のように、株主が出した資金(Equity)に対する(On)儲け(Return)の率を計算したものである。株主から見た企業に対する投資収益率を評価した指標であり、日本語では自己資本利益率と呼ばれている。

 

具体的には、株主にとっての儲けである当期純利益を、株主が企業に対して投入している資金を意味する自己資本(純資産とほぼ同じ)で割って次のように計算する。

 

出典:『会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする』(日経BP)より抜粋
[図表2]ROEの計算式 出典:『会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス 決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする』(日経BP)より抜粋

 

出典:『会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする』(日経BP)より抜粋
[図表3]ROEの計算式と2つの決算書の関係性 出典:『会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス 決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする』(日経BP)より抜粋

 

日本の上場企業の平均ROEは約10%が水準

このROEは、10年ほど前から、日本の上場公開企業の間でかなり注目されている。これは、経済産業省が主導して2014年8月に発表された「伊藤レポート」と、株主総会の議決権行使の助言会社であるISS(Institutional Shareholder Service)が2014年11月に発表した議決権行使基準の影響が大きい。

 

「伊藤レポート」では、日本企業は8%のROEを最低水準として収益力を高めることが提言されている。また、ISSは2015年から過去5年間の平均のROEが5%未満で改善傾向にない場合は、経営トップ(通常は会長および社長)の選任案件について反対を推奨するという基準を設定している。

 

その結果、最低でも5%以上、基本的には8%以上のROEを確保しようという企業が多くなっている。

 

日本企業の上場公開企業の平均ROEはこのところ約10%の水準となっており、大手企業の平均が約20%である米国と比較するとやや低めとなっている。平均値は「伊藤レポート」、ISSの基準を上回っているが、海外企業と比較するともう少し高めることが望ましい状況にある。

 

なお、ROEの各企業の基準は、あえていうと株主資本コストになる。なぜなら、株主資本コストは株主が期待・要求している儲けの率のことであり、株主から見た投資効率を意味するROEはその水準を上回る必要があるからである。

 

 

次ページROEを向上させるポイント

※本連載は、西山 茂氏の著書『会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス 決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス 決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする

会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス 決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする

西山 茂

日経BP

財務分析やファイナンスの「知りたいこと」をQ&A形式で学ぶ。決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートするための必修ポイントを解説。数字を読んで「打ち手」を考えるための分析力を磨くための入門本。クイズでは、…

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