PLから経営状況や課題を把握する際の「着眼点」
PLの売上高から営業利益までの状況を見ることで、事業の状況や動き、また課題が見えてくる。
まず、売上高、あるいは営業収益の大きさ、またその伸びは重要なポイントである。売上高の大きさは規模の大きさという意味で強みの1つになる可能性があり、また業界内のシェアにも関係する。
また、企業が成長しているかどうかは、売上高成長率をもとに見ていく場合が多い。同業他社とも比較しながら、特に売上高成長率が他社を下回っている場合には、その理由を確認し、適切な対応をしていくことが重要になる。
次に、利益率やコスト構造は、同じ業界のビジネスモデルが類似している企業同士であれば、通常は似ていることが多い。したがって、類似している優良企業と比較することで、どこに課題があるのか、どこに特徴があるのかといった面でのヒントを得ることができる。
まず、売上高総利益率が低い場合は、価格の設定が低すぎるか、あるいは原価が高すぎるかのどちらかの可能性がある。また、全体としての利益率を高め、販売管理費を「余裕を持って使える」ようにするためには、売上高総利益率を業界のトップクラスのレベルに高めることが重要である。そのためには、価格を適切なレベルに設定して維持し、商品や原材料の購入価格の引き下げや生産効率の向上によって売上原価をコントロールすることが重要になる。
高付加価値な業界ほど「コスト・在庫管理」が甘くなりやすい
また、売上高総利益率の違いは、販売管理費用の管理の厳しさや、棚卸資産の管理の厳しさのレベルにも関係してくる。
例えば、自動車業界のように売上高総利益率が低めの企業の場合は、最終的に一定の利益を確保するために、原価や販売管理費に関するコストの抑制が大きなテーマになる。
また、棚卸資産についても、売上高総利益率が低い企業、つまり原価率が高い企業の場合は、少しの棚卸資産を保有しただけでも大きな金額になる。そのため、棚卸資産を削減することの重要性がより高くなる。
一方で、製薬業界や化粧品業界といった売上高総利益率が高い企業の場合は、販売管理費をそれなりに使っても利益は出るので、研究開発費や広告宣伝費、販売促進費の効果が期待できるのであれば、ある程度使うことも選択肢になる。また、顧客のニーズにタイムリーにきめ細かく対応するために、いろいろな種類の棚卸資産をやや多めに保有することを検討する余地が出てくる。
ただ、一般に、売上高総利益率が高い業界では、売上原価や販売管理費といったコストの管理や棚卸資産の管理が甘くなる傾向もあるといわれている。したがって、このような業界でも一定の営業利益率を確保するための適度なコスト管理や一定の資産効率を確保するための適度な棚卸資産管理は重要になる。

