「十分な貯金があるから、老後は一人でも大丈夫」と思っていても、おひとりさまが高齢になると、お金だけでは解決できない思わぬ壁にぶつかります。本記事では、40年連れ添ったパートナーと死別し、貯金2,500万円があるにもかかわらず、持病の入院手続きで「ある問題」に直面し途方に暮れたミユキさん(仮名・67歳)の事例をもとに、急増する「身元保証サービス」の実態とおひとりさまの入院・施設入所問題について、弁護士の清水勇希氏が解説します。

契約費用は230万円。民間サービスに救われた67歳女性の“その後”

ミユキさんは上記ガイドラインや全終協のホームページなどもチェックし、信頼に値すると感じたので、自分とも相性のよい民間の身元保証サービス業者に依頼することに決めました。

 

ミユキさんが実際に契約時に支払った費用は預託金も含めて合計230万円であり、その内訳は以下のとおりです。

 

入会金(身元引受・連帯保証料・死後事務のサービス費用):110万円

死後事務委任の預託金:120万円

月額の管理事務手数料:5,500円

 

死後事務委任の預託金120万円の内訳

死後事務委任の預託金120万円の内訳

 

ミユキさんは持病もあったので、24時間365日駆けつけ対応可能な民間の身元保証サービス業者に依頼しました。

 

その後、実際、ミユキさんは自宅内で体調が悪くなり意識不明となりましたが、すぐに民間の身元保証サービス業者が駆けつけ、ミユキさんの代わりに入院手続きを行いました。

 

身元保証サービス業者が入院時の保証人を担い、医師に治療方針を伝えたことで、無事にミユキさんは意識を取り戻し、今は健康に日々を過ごすことができています。

「資産に余裕がない」おひとりさまはどうすればいいのか?

民間の身元保証サービスの利用には、平均で147万円かかるとの調査結果(国民生活センター)もあります。

 

ミユキさんのように一定の資産がある方は民間の身元保証サービスの利用を検討でき、保証人の問題を解決できますが、資産に余裕がない方は終身サポートサービスを利用できないのでしょうか?

 

国は、この問題を解決するために、今国会で社会福祉法を改正し、身寄りのない高齢者の支援制度を確立しようとしています。具体的には、来年以降、段階的に各自治体の社会福祉協議会が死後事務手続きなどを加えた新しい第2種社会福祉事業を実施し、令和10年には全面的に施行・運用開始がされるものと見込まれます。

 

国としては、資力のない人の支援は社会福祉協議会などの公的機関が担い、民間事業者は相応の対価を支払って質の高いサービスを受けたい中間層から富裕層の受け皿となる「2階建て」構造が理想だと考えているものと思われます。

 

今、おひとりさまを巡る環境は大きく変わろうとしています。官民一体となって問題解決に尽力する必要があるでしょう。

 

 

清水 勇希

株式会社あかり保証代表取締役/弁護士法人リット法律事務所弁護士

 

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