不動産でキャピタルゲインを狙いたいなら海外へ
前回の続きです。諸外国を見ると、法整備やシステムの簡略化を用いて不動産売買の速度を速めている国も散見できます。
これは国策として「投機」的な売買を奨励しているわけで、現状の日本においては考えが異なります。短期売買をしにくいこの国において、不動産は「線」、つまり長期的に収益を狙うべき対象だということです。
日本の不動産を買いに来る海外投資家の中でも、この特性をご存知の方は、一様にインカムゲインを目的としています。不動産でキャピタルゲインを狙う場合は海外で、ということです。
キャピタルゲイン狙いの不動産投機は「博打」!?
「高く売りたい」のは誰もが同じですが、「高く売らなければならない」のとは話がまったく別です。売価は利回りに直結しますし、多くの人が「利回り」を志向している状況下で、高値で購入することは考えにくいはずです。
それがわかっているにもかかわらず、「高値で売らなければならない」状態だと、その価格で出し続けるしかありません。
そもそも最初の段階で「線」を意識して購入していない場合、賃貸やテナントの需要、管理コストの分析をしていないことが多いものです。一度借り主が抜けると、再び借り主を探すのも苦戦します。
しかし、毎月の返済は待ってはくれませんから、売れない期間が長引くほど苦しくなっていきます。買い主心理を無視したキャピタルゲイン狙いの「不動産投機」は、博打の意味合いが強いのです(豊富な資金があり、余裕を持って現金購入できる方は別ですが)。
「投機」と「投資」は別物です。特に不動産は時間を味方にする「投資」との相性がいい商品だとご理解ください。瞬間的なバカ儲けができない代わりに、大損を背負い込むものでもないのです。
お金に絡むあらゆるものにはリスクが潜んでいます。預貯金ですら例外ではありません。もちろん、将来に対して何もアクションしないこともリスクです。
大切なのは、各々の「相性」と「特性」をしっかり把握して分散させることです。私も20年以上業界に身を置いていますし、自らも複数の不動産を運用する身ですが、決して不動産至上主義者ではありません。むしろ、経営者としても、不動産投資家としても「不動産を知っている」分、みなさんよりも懐疑的です。
だからこそ、不動産の特性になじむ手法でしか不動産投資はしません。相性の悪い方法で結果を求めても、パフォーマンスを悪化させるだけです。株には株の、国債には国債の、それぞれに求める役割が違うのです。
不動産投資の特性は、
①融資を使えること(手持ちの原資がなくても始められる)
②中長期で見ていれば瞬間的な損失は時間でリカバリーできる
ということです。現状では、この2点が最も不動産投資の特性を捉えていると思います。あえて「現状では」とつけたのは、社会・経済状況によって特性が変容していく可能性も十分あるためです。