フィリピン経済が「踊り場」に…「物価7.2%急上昇」と「ドゥテルテ副大統領」の弾劾問題、マルコス政権を揺らす二重苦

5月18日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン経済が「踊り場」に…「物価7.2%急上昇」と「ドゥテルテ副大統領」の弾劾問題、マルコス政権を揺らす二重苦
写真:PIXTA

かつての高成長に陰りが見え始めたのか――東南アジアの優等生と目されてきたフィリピン経済が、いま極めて「ちぐはぐ」な状況に直面しています。銀行貸出の伸びが加速し、一見すると資金需要は旺盛。しかし、直近のGDP成長率は2.8%と市場の想定を大きく下回る低水準に沈んでいます。背景にあるのは、7.2%まで急加速したインフレ再燃への恐怖と、企業の「防衛的」な資金確保という歪んだ構造。さらに、マルコス政権を激震させているのが、サラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾を巡る政局不安です。経済の失速と、政権中枢を揺るがす政治対立。この「二重苦」は同国の持続的な成長神話を終わらせてしまうのでしょうか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が最新の統計と政局の動向から、フィリピン経済の正念場を読み解きます。

インフレの再燃と政局不安による政策停滞のリスク

物価動向も警戒が必要です。4月のインフレ率は7.2%に達し、3月の4.1%から急加速しました。インフレの再燃は家計の実質購買力を圧迫し、経済の生命線である個人消費を鈍化させる恐れがあります。また、金融当局にとっても利下げの余地が狭まり、景気刺激策との両立が困難になる可能性があります。

 

こうした経済の減速感に加え、政局不安が影を落としています。サラ・ドゥテルテ副大統領に対する弾劾手続きは、マルコス陣営とドゥテルテ陣営の対立を背景とした政治的緊張の表れです。3月には下院司法委員会が手続きを進める方針を固めており、上院審理へ移行するかどうかが焦点となっています。

 

経済における最大の懸念は、審理の長期化による政策運営の停滞です。政府や議会のリソースが政治対立に割かれることで、予算執行やインフラ整備といった重要課題への対応が後手に回るリスクがあります。第1四半期の成長率が低迷する中、機動的な経済対策が求められるタイミングでの政治的空白は、景気への打撃を増幅させかねません。

 

総じて、フィリピン経済は「表面的な資金需要の強さ」と「実体経済の脆弱さ」が同居する不安定な状況にあります。今後の焦点は、旺盛な貸出が実際の投資回復に転じるか、そして政治の混乱が政策遂行力をどこまで阻害するかです。景気と政治の両面において、引き続き慎重な注視が必要です。

 

 

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