中東情勢による不透明感がみられる→内閣府、3月に続き同じ表現
4月の「景気ウォッチャー調査」では、中東情勢緊迫化、それに伴う原油価格の高騰などを背景に、現状判断DI(季節調整値)は前月差1.4ポイント低下の40.8と2ヵ月連続で悪化となりました。但し、3月に続き、ロシアのウクライナ侵略が始まった22年2月の37.7は下回っていません。中東情勢などの要因を除くと、景況感が底堅いことを示唆していると思います。
また、現状水準判断DI(季節調整値)は前月差1.3ポイント低下の42.4となりました。現状判断DIよりは1.6ポイント高い水準になります。
先行き判断DI(季節調整値)は、前月差0.7ポイント上昇の39.4と下げ止まりました。
なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差3.1ポイント低下の41.6となり、先行き判断DIは前月差0.6ポイント低下の39.0となりました。
4月の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方に関する内閣府の判断は、「景気は、中東情勢によるマインド面の下押しを中心に、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる」になりました。3月では2月までの「景気は、持ち直している」から「景気は、中東情勢によるマインド面の下押しを背景に、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる」に変わりました。4月で「背景」が「中心」に変更されましたが、「持ち直しの動き」というワードは引き続き用いられています。
また、先行きについては、「中東情勢による不透明感がみられる」に3月に続き同じ表現になりました。3月では2月まで5ヵ月続いた「価格上昇の影響等を懸念しつつも、持ち直しが続くとみられる」から「中東情勢による不透明感がみられる」になり、「持ち直しが続く」が消えていました。
観光型ホテル総支配人から「夏の出控えムード」懸念のコメントも
地域別にみた4月の現状判断DIでは沖縄が3月の51.5から0.7ポイント低下しましたが、50.8と地域別では唯一50台となり、13ヵ月連続で景気判断の分岐点50を上回りました。しかし、4月の先行き判断DIでは全地域が50割れに落ち込み、沖縄も47.8になりました。21年9月以降55ヵ月連続で続いた50超が終了し、56ヵ月ぶりに50割れになりました。観光型ホテルの総支配人が「夏休みの予約状況が芳しくない。国内線の燃油サーチャージ開始などで外出控えムードが広がることを懸念している」とコメントしていました。
消費をけん引した商材、エアコン135%、洗濯機145%
分野・業種別の4月現状判断DIでは唯一、家電量販店が54.4と50超になりました。3月の51.3から3.1ポイント上昇しました。北関東の家電量販店・店員の「前月は前年比98%だったが、今月は121%と大きく伸びている。消費をけん引した商材は、エアコンで135%、洗濯機145%である。冷蔵庫は振るわず90%での着地である。エアコンは2027年度から省エネ達成率が100%を超えないと生産できなくなるため、価格上昇を懸念した駆け込み需要が始まっている」というコメントがありました。
中東情勢、原油高の先行き不安高まるも、4月は概ね横這い
4月の「景気ウォッチャー調査」では現状、先行きとも「中東」に関するコメントが3月に続き増えました。現状は218人で3月の146人の約1.5倍、先行きは402人で3月の355人から+13%増加しました。4月の「中東」関連現状判断DI30.6と3月31.8より1.2ポイント低下しました。東海の住宅販売会社・従業員の現状に関するコメントとして、「中東情勢による影響で材料納入の遅れ、価格の高騰が始まっている」というものがありました。
一方、「中東」関連先行き判断DIは29.9と3月27.7より2.2ポイント上昇となりました。
また、4月の「不安」に関するコメントをした景気ウォッチャーは現状75人、先行き126人でした。関連判断DIは現状32.7、先行き32.3でした。3月では現状64人、先行き146人と2月の現状12人、先行き26人から大幅増になったことからみて、中東情勢、原油高の先行きへの不安が高まりましたが、4月で概ね横這いになったとみられます。3月の関連判断DIは現状32.4、先行き32.5だったので、こちらも4月は概ね横ばい圏の動きになったと思われます。
景況感悪化は一服、「いちごがよく売れている」スーパー店員の声も
2月の「価格or物価」関連判断DIは、現状が46.3、先行き判断DIは46.2と物価の落ち着き傾向を反映し、それなりに高めの水準になっていましたが、2月末からの中東情勢緊迫化、原油価格などの上昇から、3月の「価格or物価」関連判断DIは各々、34.1、31.7と大きく低下しました。4月の「価格or物価」関連判断DIは各々、34.3、32.2と低い水準ながら下げ止まり、景況感悪化が一服しました。「野菜の価格がかなり下がったため、よく売れており、いちごの収穫も最盛期でよく売れている」という、近畿のスーパー・店員のコメントがありました。
コメントしたウォッチャー数を先行き判断でみると、2月の266人から3月は541人に大幅に増加し、DIの低下と回答人数の増加の両面で、景況感の足を引っ張りましたが、4月は446人でやや落ち着きました。
例年より気温が高い予報、集客に影響か…ゴルフ場従業員が懸念
4月の「気温」関連現状判断DIは54.5と3ヵ月連続で、判断の分岐点の50超になりました。「気温の上昇に伴い、春物ファッションを軸に好調となっており、新生活需要や各種ギフトも活況である」という、近畿の百貨店・広報担当のコメントがありました。4月の「気温」関連先行き判断DIは43.2となり、4ヵ月ぶりに判断の分岐点の50を割り込みました。北関東のゴルフ場・従業員の「物価高の影響に続き、原油価格高騰、電気やガス料金の高騰で、ひっ迫しそうである。また、天候について、例年より気温が高い予報が出ているため、集客にも影響が出てくると予想している」というコメントがありました。
中国のインバウンド需要激減も、欧州、台湾の増加で「穴埋め」
4月の現状判断DIは50.5と3月の50.7に続き2ヵ月連続で、50超になりました。「売上は前年同月比で約8%増加となる見通しで、堅調である。客層の変化が鮮明になっており、前年まで売上の柱であった中国からのインバウンド需要が約半分に激減したが、フランスやドイツなど欧州、及び台湾からのインバウンドが数倍に増加し、その穴を完全に埋めている。また、日本人観光客による高額商材の購入も安定しており、特定の国やイベントに売上が左右されなくなっている。インバウンドの質の変化と国内需要の底堅さが、景気を押し上げている」という北陸の商店街・代表者のコメントがありました。
一方、先行き判断DIは42.9で3月の45.8に続き2ヵ月連続で50割れになりました。「夏季繁忙期を迎え、国内路線、国際路線共に、観光需要の増加を期待したいものの、中東情勢の影響が長引くことで、消費マインドが低下することが懸念される。また、円安を背景に、観光需要を支えてきたインバウンドも、今年度上期については、不透明感が増している」という北海道の旅行代理店・従業員のコメントがありました。
熊、山林火災で宿泊客減少…東北の旅行代理店従業員がコメント
昨年の今年の漢字にもなった「熊」だが、2月、3月と冬眠の時期なのでコメントはなかったが、4月で再び登場した。「熊の出没や地震、山林火災の影響により、観光客数や宿泊者数が減少している」という東北の旅行代理店・従業員のコメントがありました。
4月の「設備投資」関連判断DIは現状54.2、先行き60.0と、判断の分岐点50を上回りました。中東情勢などの影響で全体的に厳しい判断が多い4月調査での明るい材料です。先行き判断では「半導体関連はAI需要拡大の継続により、大規模な設備投資が進んでいる。順調に設備が立ち上がり、製品開発から製造量拡大となれば、更に景気は良くなる」という南関東の電気機械器具製造業・企画担当のコメントがありました。
※ 本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
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