「日柄」を重視すれば、暴落に巻き込まれにくい
本書(『世界マネーが狙う「大化け日本株」』小学館)が発売される2017年1月時点の相場はどのような展開になっているのでしょうか。
締め切りの関係で1か月前に予測するしかありませんが、すでにボックス相場、底練りを終えて新しい上昇波動に入っているものと予測します。
私は常々、相場は「値ごろより日柄」だと話しています。チャートを分析する際に、「上げ幅がいくらになったから」とか「PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)の数値が……」といった「株価」を基準とした投資法は「値ごろ」を意識したものです。一方、「上昇トレンドが○か月続いたから」とか「底値から○か月経ったから」といった「日柄」を重視する投資法があります。もちろん両方とも重要ですし参考になるのですが、どちらを基本にすればより稼げるかというなら、間違いなく「日柄」のほうが予測は当たります。
ある著名な投資家の言葉で、「相場とは待つことだ」という名言がありますが、これなども日柄を強く意識した投資法を教えたものです。相場で稼ぐ大原則は安値で買って高値で売ることですが、特に天井や底を予測することはプロでも難しいのです。株価が上がって新値、新値と更新していくような相場では、どの時点でも誰も経験のないゾーンで勝負しなければなりません。つまり、いくらになったら売り時かは誰にもわからないのです(もちろん値ごろについてもヒントや基準はありますが)。それよりも、波動を読んで今の相場がいつまで続くかを見極め、潮時を逃さないほうが確実に利益を確保できます。相場は暴落し始めると一気に下がって売り時を逃してしまいますから、日柄を重視する投資法は暴落に巻き込まれない極意だとも言えます。
理屈よりも大事な「実践を通じた確率論」
少し話はそれますが、一般の投資家向けの本やセミナーで、もっぱら値ごろの話が中心になってしまうのは、そのほうが理屈で説明しやすいからです。「PERが20倍以下ならお買い得」であるとか、「同業・同規模ならばPBRの低いほうを買え」などと、筋道を立てて話がしやすいからです。
それに比べて日柄(時間)の法則は、主に相場の経験則やインスピレーションで決まってきますので、プロの投資家たちはその重要性を知ってはいても、言葉で説明することは難しいのです。セミナーで「3年波動の最後の年だから、そろそろ売り時ですね」と話しても、「なぜですか?」と問われて説明することは容易ではありません。日柄(時間の波動)は理屈ではなく体感するものなのです。そこには投資家自身のひらめきが必要です。だから、「値ごろより日柄」という相場の鉄則が一般の投資家にはあまり理解されていないのです。
言うまでもありませんが、経済理論で相場に勝てるなら、経済学者はみんな大金持ちになっているはずです。プロの投資家は学者ではありませんが、学者より勝つ方法を知っています。経験則とインスピレーションで優っているからです。そこには理屈がなくてもいいのです。方程式よりも実践を通じた確率論のほうが大事です。「理」より「利」を重視するのがプロと言ってもいいでしょう。
すでにお話ししたように、私は株価の波動を重視します。波動には価格の波動と時間の波動があります。どちらも大事ですが、売買の判断基準は日柄が優先します。波の上下動は変化が大きく、天井や底の数値を予測することも大切ですが、波のリズム、サイクル、すなわち波動はたいてい決まったパターンを繰り返したり、よくあるパターンを入れ替えながら展開したりします。相場の値上がり、値下がりのタイミングさえ間違わなければ、あとは波の大きさによって大きく儲けたり、小さく儲けたりするだけです。だから「値ごろより日柄」なのです。まして、本書でも重視する3年波動、7年波動、20年波動などは経済学の学説でも支持されている景気サイクルに連動していますから、より信頼できます。