(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親が一人暮らしを続けることに、家族が不安を抱くケースは少なくありません。転倒、急病、火の不始末、認知機能の低下。離れて暮らす子どもにとって、施設入居は「安心のための選択」に見えることがあります。しかし、本人にとっては住まいだけでなく、生活の自由や人間関係まで大きく変わる決断です。安全と納得は、必ずしも同じではありません。

「一人暮らしは心配だから」…子どもの勧めで決めた施設入居

一人暮らしをしていた和枝さん(仮名・80歳)は、昨年、子どもたちの勧めで介護付き有料老人ホームに入居しました。

 

夫を亡くしてからは、築40年の戸建てで一人暮らし。足腰は少し弱っていたものの、近所のスーパーまで歩いて買い物に行き、友人と喫茶店で会うこともありました。

 

「自分では、まだ家で暮らせると思っていました」

 

しかしある冬の日、玄関先で転倒したことをきっかけに、長男と長女が強く施設入居を勧めるようになります。

 

「何かあってからでは遅いよ」

「私たちもすぐには駆けつけられないから」

 

子どもたちの言葉に、和枝さんは反論しきれませんでした。心配してくれていることは分かります。実際、転倒したときは一人で立ち上がれず、近所の人に助けてもらったのです。

 

「迷惑をかけたくない、という気持ちもありました」

 

和枝さんの年金は月17万円ほど。施設の月額費用は、家賃、食費、管理費などを合わせておよそ18万円。足りない分は、預貯金を取り崩す形でした。

 

「子どもたちは、“お母さんのためのお金だから使えばいい”と言ってくれました」

 

入居当初は、確かに安心感がありました。食事は用意され、掃除も手伝ってもらえます。夜間もスタッフがいるため、急な体調不良にも対応してもらえる環境でした。

 

厚生労働省『介護保険事業状況報告』によると、要支援・要介護認定者は高齢化に伴って増加しており、在宅生活を続けるか、施設や介護サービスを利用するかは、多くの家庭にとって現実的な課題となっています。

 

「最初は、これで子どもたちも安心するならいいのかなと思っていました」

 

ところが、入居から数ヵ月が経つころ、和枝さんの中に小さな違和感が生まれます。

 

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調査対象に選ばれる人・選ばれない人

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