「家族だから」で済ませてきた負担…限界を迎えた夫婦の本音
それまで積み重なっていた小さな負担が、一気に噴き出した出来事がありました。
長男夫婦が「少しだけ出かける」と言って孫を預けたまま、帰宅が夜遅くになったのです。京子さんは夕食を用意し、風呂に入れ、寝かしつけまでしました。
ようやく帰ってきた長男の妻は、疲れた表情でこう言いました。
「すみません、助かりました」
悪気がないことは分かっていました。けれど、その一言だけで済まされることに、京子さんの中で積もっていたものがあふれました。
「私は家政婦じゃないのよ」
場の空気が一瞬で凍りました。
その日を境に、家の中の雰囲気は変わっていきます。長男夫婦は気を遣うようになり、孫も以前ほど自由に祖父母の部屋へ来なくなりました。
「こんなはずじゃなかった…」
京子さんは、そう何度もつぶやいたといいます。
二世帯住宅では、家族が近くにいる安心感がある一方で、生活費や家事、育児の分担が曖昧になりやすい面があります。明さん夫婦は、長男夫婦と改めて話し合うことにしました。
「一緒に住むのはいい。でも、このままだとお互いにつらくなる」
話し合いでは、生活費の分担、孫の預かり方、共有部分の使い方を紙に書き出しました。孫の世話は週に決まった曜日だけにし、急な依頼は必ず事前に相談すること。光熱費は一定割合で分担すること。食事は原則として別にすること。
最初はぎこちなさもありましたが、ルールを作ったことで、少しずつ関係は落ち着いていきました。
「家族なのに細かいことを決めるなんて、と思っていました。でも、家族だからこそ決めないといけないこともあるんですね」
明さんはそう振り返ります。
二世帯住宅は、家族の距離を近づける住まいです。しかし、近さは時に遠慮や不満を見えにくくします。
老後の安心を求めて選んだ家が、家族の負担を増やしてしまうこともある。大切なのは、同居を始める前に「何となく助け合う」ではなく、「どこまで助け合うのか」を言葉にしておくことなのかもしれません。
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