「妻に言い出せない」決まらない仕事、減っていく貯金に脅える日々
和彦さんが最も苦しんでいるのは、妻に退職したことを言い出せず、偽りの生活を続けていることです。
恵子さんはパート勤務で年収約120万円。本来なら家計の大黒柱は和彦さんです。退職後、待期・給付制限期間を経て、和彦さんは雇用保険に基づく失業手当(基本手当)を受給しています。再雇用時の年収400万円を基にすると、1日あたりの基本手当はおおよそ6,000円程度。給付日数は150日程度となり、総額では約90万円ほどです。
一見すると生活の足しにはなりますが、月換算では約18万円程度に過ぎません。住宅ローンは完済しているものの、貯金を切り崩しながら生活している状態です。
実際に和彦さん夫婦の毎月の支出は約25万円。つまり、毎月7万円前後の赤字になる計算です。しかも失業手当には期限があります。
すでに、退職をしてから7ヵ月。「仕事が決まらなければ、近いうちに貯蓄を取り崩す生活になる」「妻にはいつ打ち明ければいいのか」など、不安は日に日に大きくなるばかり。和彦さんは耐えがたい日々を送っています。
耐えるか、辞めるかではなく「どう備えるか」
再雇用後の環境変化は、多くの人にとって想像以上に大きなストレスとなります。しかし、感情だけで判断してしまうと、後の生活に大きな影響を及ぼします。
まず重要なのは、「収入の総額」で考える視点です。年収が下がったとしても、安定収入が5年間続く価値は決して小さくありません。
また、再雇用期間中に「次の働き方」を準備することも現実的な選択です。副業や資格取得、人脈づくりなど、在職中だからこそできる準備があります。
さらに、家族との情報共有も欠かせません。収入が変わる以上、生活水準の見直しは避けられませんが、それを一人で抱え込む必要はないのです。
和彦さんのケースは、決して特別なものではありません。再雇用による収入減や立場の変化は、多くの人が直面する現実です。 大切なのは、「耐えるか辞めるか」という二択ではなく、その変化にどう備え、どう乗り越えるかという考え方です。
収入が半減しても、安定した収入を確保する価値は大きい。一方で、辞めるのであれば、その後の生活設計まで見据えた準備が不可欠です。
60歳以降の働き方は、これまで以上に「戦略」が問われる時代に入っています。感情だけで動くのではなく、数字と現実を踏まえた選択が、将来の安心につながります。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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