再雇用で「年収400万円」に半減した60歳元部長の「偽りの二重生活」。朝7時、いつものスーツに身を包んで向かう「まさかの行先」【CFPの助言】

再雇用で「年収400万円」に半減した60歳元部長の「偽りの二重生活」。朝7時、いつものスーツに身を包んで向かう「まさかの行先」【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後も働き続けることが当たり前になりつつある中で、60歳以降も再雇用で働くという選択をしたものの、それまでとのギャップに悩む方も少なくありません。実際に、役職や収入の変化、人間関係の逆転に戸惑い、退職を選んでしまうケースも見られます。今回はトータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が、このような問題に対する解決策や注意点について解説します。

再雇用の給与はなぜ大きく下がるのか

再雇用後の給与が大きく下がるのは、制度上ある程度やむを得ない側面があります。多くの企業では、定年前の役職や責任に応じた賃金体系から、職務内容に応じた再設定へと切り替わるためです。

 

実際に、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、高年齢者の再雇用後の賃金は「定年前の50~80%程度」となるケースが多く 、和彦さんのように半分になるケースも決して珍しいことではありません。

 

和彦さんは退職金として2,000万円を受け取っていました。退職金は「退職所得控除」が適用されるため、勤続38年の和彦さんの場合、2,000万円の大半が手元に残る計算です。

 

「しばらくはこれで何とかなる」と考えていましたが、見落としていたのが「継続して得られるはずだった収入」です。

 

仮に再雇用後、年収400万円で65歳まで5年間働いた場合、額面ベースで総額2,000万円、手取りは1,500万円程度になるはずでした。一方で退職してしまえば、この収入はゼロになります。

 

さらに、再就職によって同水準の収入を得るのは簡単ではありません。60歳以降の求人は、非正規や低賃金のものが多く、年収200万円台になるケースも珍しくないのが現実です。

「辞めた後」のほうが厳しい現実

再就職のため、本腰を入れてハローワークで仕事を探し始めた和彦さんは、すぐに現実の厳しさに直面しました。

 

当初、和彦さんは「自分のような経歴なら、それなりのポストがあるはずだ」と高を括っていました。しかし、検索端末に「年収500万円以上」「管理職」といった条件を入力しても、画面には「該当する求人はありません」という無慈悲なメッセージが表示されるばかり。

 

「退職前、ぼんやり求人を見ているうちは、現実的じゃなかった。『非公開求人もあるだろうし、見つかるだろう』と思っていたんですが……」

 

しかし、求人の多くは、警備員や清掃スタッフ、短時間勤務の仕事など。これまでの経験を生かせる仕事は限られており、あったとしても給与は大幅に下がります。「元部長」という肩書は、再就職市場ではほとんど評価されにくいことも実感しました。

 

さらに、空白期間が長くなるほど再就職は不利になります。精神的な負担も増し、「あのとき我慢していれば」と後悔する場面も増えていきました。

 

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