銀行通帳に刻まれる数字が増えることに安らぎを覚えていました…貯蓄の国・日本が「個人金融資産2000兆円」と引き換えに逃してきたもの。2018年に起きた大転換点

銀行通帳に刻まれる数字が増えることに安らぎを覚えていました…貯蓄の国・日本が「個人金融資産2000兆円」と引き換えに逃してきたもの。2018年に起きた大転換点
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人は勤勉に働き、節約に励んできましたが、資本の成長はどこか遠い世界の出来事として扱われてきました。世界中の企業が日々価値を生み出し、成長を続けるなかで、日本の家庭はその恩恵を拒み続け、膨大な機会を損失してきたのかもしれません。現在、日本の資産運用は、特定の銘柄を当てる手法から、世界経済の流れに身を委ねる「資産形成」という、より「再現性の高い考え方」へと移り変わりつつあります。その歴史的な兆候ともいえるのが、「オルカン(全世界株式)」の普及です。本記事では、「オルカンの生みの親」代田秀雄氏の著書『オルカン思考:世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』(Gakken)より、日本がこれまで歩んできた道のりと、同氏が考える投資の本質について解説します。

貯蓄から投資へ…2018年運用開始の「オルカン」による日本の変化

私たちが普及に心血を注いできた「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」シリーズ、中でも「オルカン(オール・カントリー)」の純資産残高は10兆円を超え、かつては想像もできなかった規模に達しようとしています。

 

これは単なる一商品のヒットではありません。日本の資産運用が、特定の銘柄を当てる「点」の投資から、世界全体の成長を丸ごと受け取る「面」の投資へ、そして「投機」から「資産形成」という、より普遍的で再現性の高い考え方へと、確かな流れとして移行しつつあることを示す歴史的な兆候だといえます。

 

「eMAXIS Slim」シリーズ全体で見れば、その残高はすでに20兆円を優に超えています。こうしたインデックスファンドが、たとえば世界経済の成長に合わせて年率5%で運用されれば、そこから生まれるリターンは年間で1兆円を超えます。

 

この数字は、もはや個々人の「儲け話」という枠を完全に超えています。1兆円という規模は、日本の科学技術振興や少子化対策といった、国家予算の主要な政策分野と肩を並べる水準です。

 

重要なのは、その富が誰かの犠牲や税金、あるいはゼロサムゲームの奪い合いによって生まれるものではないという点です。それは世界中の何十億という人々が今日をよりよくしようと働き、企業活動が生み出した付加価値の一部として、正当に分配されるものです。資産運用が健全に社会に根づくことは、社会全体のパイを広げ、未来への選択肢を増やすための、最も静かで持続的な「民間の力」なのです。

オルカンが既存の投資イメージと異なる理由

「投資」という言葉を聞いて、今でも多くの人が、複数のモニターに張り付き、刻一刻と変わる相場に神経を尖らせ、複雑な判断を迫られる姿を思い浮かべるかもしれません。

 

しかし、私が考えるインデックスファンド投資の本質は、その対極にあります。市場全体に投資するということは、もはや「どの銘柄が勝ち、どの国が沈むか」を予測し続ける苦行から、自分自身を解放することに他なりません。予測に貴重な時間と労力を費やすのではなく、世界経済そのものの成長に参加し、その流れに身を委ねる。この「発想の転換」こそが、投資の姿を劇的に変えました。

 

もちろん、企業の価値を分析し、銘柄選択の探求そのものを趣味として楽しむことを否定するものではありません。それは一つの高度で知的な営みです。

 

ただ、多くの人にとって、人生の主人公は投資であってはならないはずです。あなた自身の仕事、大切な家族との食事、趣味や学び、あるいはただ静かに流れる休日。投資に振り回されず、そうした「自分にしかできないこと」に全力を注げる状態をつくること。

 

実はそれこそが、長期的に見て合理的であり、かつ人生の生産性を最大化する最も無理のない投資戦略なのです。

 

 

代田 秀雄

三菱UFJアセットマネジメント 前常務

シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズ 代表

 

 

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※本連載は、代田 秀雄氏の著書『オルカン思考:世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』(Gakken)より一部を抜粋・再編集したものです。

オルカン思考:世界経済を味方につける「長期投資」の教科書

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代田 秀雄

Gakken

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