「このままでは共倒れになる」…支える側が直面する限界
転機となったのは、金融資産の減少ペースを具体的に試算したときでした。
「このまま援助を続けた場合、10年も持たないかもしれないと分かって…」
将来的に、医療費や介護費用の増加は避けられません。
「自分たちが倒れたら、結局は娘に負担がいくことになる。それは本末転倒だと思ったんです」
そう考えた正志さんは、妻と話し合いのうえ、援助の見直しを決意します。しかし、その決断は簡単ではありませんでした。
「見捨てるような気がして…本当に苦しかったです」
意を決して、正志さんは長女に「これからは、今までと同じようには支えられない」という旨を伝えました。
「本当は、ずっと頼りたかったと思います。でも、こちらの事情も理解してくれました」
現在は、援助額を月5万円程度に減らし、長女自身も勤務時間を増やすなどして収入を補っています。完全に自立したとは言えないものの、「持続可能な形」に近づけたと正志さんは感じています。
「守りたい気持ちは変わらない。でも、自分たちの生活も守らないといけない」
民法877条では、直系血族間には扶養義務があるとされていますが、その範囲は「生活保持義務」ではなく、あくまで可能な範囲での扶助と解釈されています。つまり、自分たちの生活を犠牲にしてまで支える必要はないという考え方です。
「冷たいと思われても仕方ない。でも、長く支え続けるためには、無理をしないことが大事なんだと思います」
正志さんの言葉には、葛藤と現実を受け入れた重みがにじんでいました。
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