安定した生活を送っているはずの父から「突然の電話」
「親父は、一人になってもちゃんとしている」
都内在住の会社員・雄太さん(45歳)は、10年前に母を亡くした75歳の父・正雄さんの家を訪ねるたび、どこか安心していました。
郊外の古い一戸建て。母が亡くなった後も、庭の芝は刈られ、父の服にシワはなく、家の中も綺麗に片付いている。父の生活は安定している――雄太さんはそう信じて疑いませんでした。
しかし、ある夜、父から珍しく電話があり、震える声で「いくらか金を貸してくれないか」と言われたのです。
慌てて実家へ向かった雄太さんが目にしたのは、食卓に置かれた固定資産税の納付書でした。
「これが払えなくて……」
雄太さんが詳しく話を聞くと、驚くべき事実が発覚しました。父はここ数ヵ月、自分の趣味だったカメラやオーディオ、かつて母が着ていた洋服や雑貨まで、リサイクルショップに持ち込んで現金に替えて、やりくりしていたというのです。
「大した金額にはならないけれど、それでもちょっと足しにはなったんだ」
さらに父の手元には、母が大切にしていた18金の指輪が置かれていました。
「これだけは残しておきたい。だから、頼む。こんな状況、お前には知られたくなかったんだが……」

