(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の住まいは、資産や収入状況と並んで生活の安定を左右する大きな要素です。現役時代に持ち家を取得していない場合、退職後に購入を検討するケースもありますが、その判断は長期的な維持費や生活環境の変化を踏まえて慎重に行う必要があります。住まいは取得して終わりではなく、その後の維持と適応が伴うものです。

「やっと自分たちの家を持てる」定年後に選んだマイホーム

俊夫さん(仮名・68歳)と妻の典子さん(仮名・66歳)は、長年社宅で生活を続けてきました。家賃は抑えられていたものの、「いつかは自分たちの家を持ちたい」という思いは持ち続けていたといいます。

 

「子どもが小さい頃から、いつかはと思っていました。ただ、仕事の都合で引っ越しも多く、タイミングがなかったんです」

 

定年を迎えたタイミングで、夫婦はその願いを実現させます。退職金と貯蓄を合わせて5,000万円以上を確保しており、その一部を使って郊外に戸建て住宅を購入しました。

 

「これで落ち着いて暮らせると思いました。ようやく自分たちの拠点ができたという感覚でした」

 

住宅ローンは組まず、現金で購入。庭付きの一戸建てで、広さにも余裕がありました。周囲は静かな住宅街で、自然も多く、老後を過ごす環境としては申し分ないと感じていたといいます。

 

夫婦の年金収入は月22万円ほど。総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の平均消費支出は月26万3,979円です。貯蓄を取り崩しながら生活する前提ではありましたが、「無理のない範囲で暮らせる」と見込んでいました。

 

しかし、その生活は長くは続きませんでした。最初に違和感が出たのは、住み始めて数年後でした。

 

庭の手入れ、外壁の劣化、設備の不具合。社宅では意識することのなかった維持管理の負担が、すべて自分たちにのしかかってきたのです。

 

「庭の草取りだけでもかなり大変でした。最初は楽しんでやっていたんですが、だんだん負担になってきて」

 

さらに、築年数が進むにつれて修繕費も発生しました。給湯器の交換、外壁の補修、屋根の点検など、まとまった出費が重なります。

 

「こんなにお金がかかるとは思っていませんでした」

 

一方で、生活環境にも変化がありました。郊外のため、買い物や通院には車が必要でしたが、年齢とともに運転への不安が出てきました。

 

「いずれ車を手放したらどうするのか、現実的に考え始めました」

 

夫婦のどちらかが体調を崩したときの負担も大きくなっていきます。家が広い分、掃除や移動の手間も増えました。

 

「広い家がいいと思っていましたが、今の自分たちには広すぎました」

 

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