「一時的」のはずが続いた同居…崩れていった距離感
同居から半年が過ぎても、状況は大きく変わりませんでした。長女はパート勤務を始めましたが、収入は安定せず、生活費の大半は中村さん夫婦が負担する形になっていました。
「家計としては、かなり厳しくなりました」
もともと余裕のある生活ではありません。そこに追加の支出が重なり、貯蓄を取り崩す場面も増えていきました。さらに、精神的な負担も積み重なっていきます。
「自分たちの生活ではなくなってしまった感じがありました」
朝の時間、食事の内容、テレビの音量。些細なことでも、気を使う場面が増えました。夫婦だけのときにはなかった緊張感が、家の中に常にあるような状態だったといいます。
ある日の夕食後、長女が何気なくこう言ったといいます。
「もう少しここにいてもいいよね」
その言葉を聞いた瞬間、中村さんは強い違和感を覚えました。“一時的”だったはずなのに───。
その夜、夫婦で話し合いをしました。
「このまま続けるのは難しいと思いました。体力的にも、金銭的にも」
後日、中村さんは長女に対して、住まいを探すことを提案しました。すぐに出ていってほしいというわけではなく、期限を決めて準備を進めてほしいという内容でした。
「言いづらかったですが、言わないと状況は変わらないと思いました」
長女は最初戸惑った様子でしたが、その後、自治体の相談窓口を利用し、住まい探しを進めることになりました。同居が完全に解消されたわけではありませんが、出口に向けた動きがようやく見え始めたといいます。
「助けたい気持ちはあります。でも、自分たちの生活も守らないといけない」
家族であっても、生活を共にすることで生まれる負担は小さくありません。特に老後の生活は、限られた収入と体力の中で成り立っています。
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