「どれを信じればいいの?」追い込まれた末の違和感
ある日の夕方、美子さんは一人で食卓に座りながら、ふと手を止めたといいます。
「これ、誰のための話なんだろうと思ったんです」
どの担当者も丁寧で、説明も分かりやすかった。しかし、そのすべてが自分のための提案なのか、それとも売る側の都合なのか、見極める自信が持てなくなっていました。
「どれを信じればいいのか、本当に分からなくなりました」
美子さんは一度すべての話を止めることを決めました。約束していた面談を延期し、新しい提案も断ることにしたのです。
「まずは自分で整理しないといけないと思いました。このまま誰かの言葉だけで決めるのは怖かったんです」
その後自治体の消費生活センターに相談し、一般的な金融商品の仕組みや注意点について説明を受けました。また、信頼できる第三者の専門家に話を聞くことも検討し始めたといいます。
「すぐに運用を始めなくてもいい、と言われて、少し気持ちが楽になりました」
現在、美子さんは資産の大半を預金のままにしつつ、一部については慎重に検討を続けています。
相続によって手にした資産は、生活の安心につながる一方で、新たな判断を迫る要因にもなります。
資産があることと、それを適切に扱えることは別の問題です。判断を急がされる場面ほど、一度立ち止まることが必要になるのかもしれません。
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