「300万円」はもらえないが…自分に合った制度を適正に活用した結果
結局、トモカさんは長期間職歴が空白になる健康保険の傷病手当金の受給は見送り、雇用保険の基本手当(失業給付)のみを受ける方針を選択しました。
主治医に相談したところ、「現在はうつ病の状態にある」「退職時点ではフルタイム就労は困難」「環境が変われば週20時間以上の就労は可能」という内容の意見書を作成してもらうことができました。
そして退職後、トモカさんは離職票を持って住所地を管轄するハローワークへ向かいました。窓口では、離職理由や通院歴、医師の意見、就労可能性などについて、丁寧なヒアリングが行われました。
その結果、トモカさんは「特定理由離職者」として認定され、給付制限なしで基本手当を受給できることに。また、国民健康保険料の軽減措置の対象にもなりました。
その後、比較的早期に再就職が決まり、再就職手当の支給も受けることができたそうです。
基本手当日額6,207円、残日数約240日とすると、約6,207円×240日×70%≒約104万円と100万円超の支給となります。確かにまとまった金額ではあるものの、広告で見た「300万円」とは大きく異なる現実でした。
「最初は“もらえるなら得”と思っていました。でも実際は、自分の状態に合わせて必要な制度を使うものなんだとわかりました」
このトモカさんの言葉こそ、本質を突いています。これらの給付はあくまで、生活の安定や再就職支援を目的とした制度であり、利益を得るための仕組みではないのです。
社労士が警告「安易な広告に流されないで」
「退職給付金」という言葉が広がる背景には、制度の複雑さと情報の非対称性があります。
しかし、制度は存在するものの「商品」ではない点や、判断するのはハローワークなどの公的機関である点、高額な手数料を払う必要はないといった点は明確です。
安易な広告に流される前に、まずは社会保険労務士などの専門家やハローワークへ相談すること。それが、結果的に最も安全で確実な選択といえます。
岡 佳伸
社会保険労務士法人 岡佳伸事務所
特定社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
[参考資料]
独立行政法人国民生活センター「失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意-不正受給を促すかのようなケースも!-(2025年12月3日:公表)」
