「退職給付金」の落とし穴…「退職で300万円もらえます」SNS広告に心が揺れた月収30万円・32歳女性、その裏に隠された〈まさかの事実〉【社労士が警告】

「退職給付金」の落とし穴…「退職で300万円もらえます」SNS広告に心が揺れた月収30万円・32歳女性、その裏に隠された〈まさかの事実〉【社労士が警告】
(※画像はイメージです/PIXTA)

「退職するだけで300万円もらえる」――近年、そんな魅力的なフレーズが並ぶ「退職給付金」のSNS広告が急増しています。心身の不調から退職を考えていたトモカさん(仮名・32歳)も、その甘い言葉に揺れた一人でした。しかし、専門家に相談したことで「まさかの事実」を知ることになります。本記事では、社会保険労務士の岡佳伸氏が事例をもとに、高額な手数料を要求する「退職給付金ビジネス」の落とし穴と、正しい公的制度の活用法について解説します。

退職給付金スキームのカラクリと決定的な落とし穴

もし、トモカさんが広告業者の説明を受けた場合、どうなっていたのでしょうか。典型的な流れをご紹介します。

 

退職前に精神科や心療内科を受診し、うつ病などの診断を下される。そのうえで在職中に傷病手当金の受給要件を満たし、退職後も継続給付を受ける。

その間、基本手当(失業給付)については「受給期間延長」を行い、すぐには受け取らない。

そして一定期間後、回復したとして求職活動を開始し、「就職困難者」として基本手当を受給する。

さらに早期に再就職すれば、再就職手当が支給される。

 

一見すると合理的で、制度として成立し得る流れです。しかし、ここには決定的に重要な前提があります。それは、「すべて実態に基づいて判断される」という点です。

 

実態と異なる申請を行った場合、不正受給と判断される可能性があるため、注意が必要です。

「うつ病と診断されればOK」といった単純な話ではない

雇用保険制度における「就職困難者」には、障害者のほか、統合失調症、うつ病や双極性障害(躁うつ病)などの精神疾患を有する者も含まれる場合があります。ただし、これは単に診断名があるだけで認定されるものではないのです。

 

就労制限の程度や医師の意見、日常生活への影響、求職活動の可否などを総合的に判断し、ハローワークが個別に認定します。また、基本手当そのものも、「働く意思と能力があり、就職できない状態」であることが前提です。さらに、疾病を理由とした離職が特定理由離職者として認められる場合も、客観的資料に基づく判断が必要となります。

 

つまり、「診断を受ければ自動的に長期給付になる」といった単純な話ではないのです。

次ページ「安易な広告に流されないで」社会保障制度の本質とは?

※本稿の事例は、制度説明のために実際の相談内容の一部を再構成しております。

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