「株主優待廃止発表後に株価が急落」したケース
とはいえ、個人投資家にとっては、配当とともにクオカードとか、米などの食料品、自社製品などを贈ってもらえるのはうれしいものです。金額はわずかでも、内容(品物)によっては親近感がわき、優待を実施してくれる企業を応援したくなることも多いと思います。
ただ、前述したように突然、株主優待制度を廃止する場合があります。日本M&Aセンターホールディングス(2127)がそうでした。かつては米が優待の対象商品で好評だったのですが、今は廃止されています。2023年3月期が最後でした。
株価はその直後に急落、令和の米騒動の前のことでしたが、それなりに楽しみにしている人が多かったのでしょうね。
投資家に衝撃を与え、大きなニュースになったのは回転寿司大手のくら寿司(2695)です。同社は2024年12月11日、株主優待の廃止を発表しました。この日の終値は3865円でしたが、この発表を受け、翌日(12月12日)の株価は終値が3255円まで売られました。この間の下げ幅は610円、下落率は実に15.8%です。
同社株はその後も下げ続け、2025年2月17日には2537円の安値をつけました。これに窮したのか、同社はその2日後の2月19日に「株主優待制度の再導入」を発表します。この優待復活をマーケットは素直に好感しました。この日の終値2590円が翌2月20日は500円値上がり(ストップ高)し、市場関係者の度肝を抜いたのです。想定外のポジティブ・サプライズといえるでしょう。
現在の優待は、以前のような1000円ごとに利用できる割引券ではなく、食事券(100株所有の場合は2500円分など)に改められています。ちなみに、同社株はその後も続伸し、2025年8月5日には4195円まで買われました。現在も3000円台後半で堅調に推移していますが、まさに「優待の復活が株価の復活を招いた」(市場関係者の話)といえるでしょうね。
くら寿司のケースは、配当の復配・無配転落(大幅な増減を含む)だけでなく、株主優待の廃止・復活(内容の大幅な変更を含む)も、株価に大きな影響を与えることを示してくれました。ただ、この乱高下の最中に、大株主の売買(安値での取得)があったといわれ、物議をかもしたのは事実です。
なお、株主に支払われる配当は原則、株主総会で決議されるのに対し、株主優待の廃止・変更は取締役会の決議のみで決定することができます。この点、注意すべきリスク(落とし穴)も含んでいますので、肝に銘じておく必要があります。
杉村富生
経済評論家
※本記事は、杉村富生氏の著書『月々10万円、年120万円がず〜っと入ってくる 毎月配当株投資』(すばる舎)の一部を抜粋したものです。記載内容は執筆当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。
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