(※写真はイメージです/PIXTA)

老後に向けてまとまった資産を確保していれば安心――そう考える人は少なくありません。しかし、退職後の生活は収入が限られる一方で、医療費や住まいの維持費、家族に関わる支出など、想定外の負担が重なることがあります。総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の可処分所得は月約22.1万円、消費支出は月約26.4万円。平均で約4万円の赤字となっています。資産の多寡にかかわらず、計画が崩れると家計は急速に揺らぎます。

「まさか私たちが…」見直しを迫られた老後の設計

通帳を見ながら、敏夫さんは思ったといいます。

 

「まさか自分たちが、こんなふうに不安を感じる側になるとは思っていませんでした」

 

夫婦は生活の見直しを始めました。旅行の頻度を減らし、日常の支出も再点検。それに加え、敏夫さんは週数日の軽作業の仕事を始めました。

 

「収入のためというより、減る一方ではない状態をつくりたかったんです」

 

京子さんも、「今あるお金をどう使うか」を意識するようになったといいます。

 

「数字だけ見て判断していた部分があったと思います。実際には、生活はもっと変動するものなんですよね」

 

老後資金は、単純な残高だけで測れるものではありません。健康状態、家族関係、住まいの状況など、さまざまな要素が重なり合って変化していきます。

 

「余裕があると思っていると、逆に見直しが遅れるのかもしれません」

 

現在、夫婦は以前よりも現実的な目線で生活設計を組み直しています。

 

「楽しむことをやめたわけではありません。ただ、今とこれからのバランスを考えるようになりました」

 

老後の生活は、用意した金額だけでは測れません。想定が崩れたときにどう動くか――その選択が、暮らしの安定を左右するのかもしれません。

 

 

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